AstroArts Topics

恒星・銀河

初期宇宙の謎の天体に赤外線とX線観測で迫る

2025/12/12
初期宇宙に多数見つかっている正体不明の新種天体「高速度Hα輝線放射天体」について、赤外線とX線の観測データを用いた研究から、通常の活動銀河核と大きく異なる性質が示された。

重力レンズ効果による宇宙膨張率の測定、ハッブルテンションを深刻化

2025/12/11
重力レンズ効果を利用して現在の宇宙の膨張率が高精度で測定された。後期宇宙の結果とは整合するが初期宇宙の結果とは一致せず、両者が異なるという問題「ハッブルテンション」を深める成果である。

塩素やカリウムは活動的な大質量星の内部で作られた

2025/12/10
X線衛星XRISMによる超新星残骸カシオペヤ座Aの観測から、爆発前の大質量星の内部で塩素やカリウムが大量に合成されていたことが示された。これまで起源がはっきりしなかった元素の謎を解明する成果だ。

私たちは天の川銀河の中心「いて座A*」を「真下から」見ている

2025/12/09
アルマ望遠鏡の観測データから、天の川銀河の中心ブラックホール「いて座A*」のミリ波強度に52分周期の変動が見つかった。このデータの解析によると、私たちはブラックホールを「ほぼ真下」から見ていることになる。

すばる望遠鏡OASIS計画の初成果、巨大惑星と褐色矮星を発見

2025/12/08
すばる望遠鏡と宇宙望遠鏡の観測を組み合わせた研究から、恒星を周回する軽い天体が2つ発見された。巨大ガス惑星や褐色矮星を直接とらえ、その性質を明らかにする探査計画「OASIS」の初成果だ。

超小型紫外線衛星「モーヴ」打ち上げ成功、恒星フレアをモニター観測

2025/12/05
11月29日、超小型紫外線衛星「モーヴ」が打ち上げられた。太陽のような星が起こすフレアを長期でモニタリングし、恒星活動と周囲の惑星への影響を明らかにすることを目指す。

天の川銀河を取り巻くガンマ線放射を発見、ダークマター由来か

2025/11/28
ガンマ線天文衛星のデータの解析から、天の川銀河を取り巻くハロー状のガンマ線放射が見つかった。ダークマターの対消滅で生じたガンマ線かもしれない。

終末期の大質量連星「アペプ」に四重の塵のシェルを発見

2025/11/27
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測で、ウォルフ・ライエ星の連星「アペプ」に新たに3層の塵の球殻が見つかり、塵が四重構造になっていることが明らかとなった。

3000億粒子の天の川銀河シミュレーションをAI×富岳で実現

2025/11/26
銀河を3000億個の粒子で表した世界最高解像度の銀河シミュレーションがスパコン「富岳」で行われた。直接計算とAIによる予測を組み合わせた新手法が使われている。

132億年前の銀河で「超高温の星工場」を発見

2025/11/21
アルマ望遠鏡の観測で、132億年前の初期宇宙にある銀河が、天の川銀河の180倍という猛烈なペースで星を生み出す超高温の環境にあることが明らかになった。

星空案内 毎月の天文現象や星座を解説

ブラックホール「はくちょう座X-1」のプラズマの形がわかった

2025/11/19
有名なブラックホール「はくちょう座X-1」が放つX線の偏光が高い感度で観測され、高温プラズマが降着円盤に沿って平べったい構造になっていることがわかった。

ホットジュピターの静かな誕生に迫る

2025/11/14
主星の近くを公転する巨大惑星「ホットジュピター」のうち、原始惑星系円盤内をゆっくり移動して「静かに誕生した」ものを見分ける手法が開発された。

中性子星が飲み込むガスと回転スピードの間に見つかった未知の関係性

2025/11/10
異常な量のガスを飲み込む「超臨界降着」状態の中性子星について、ガスの明るさと中性子星の回転速度の関係が13年分の観測データから発見された。

すばる望遠鏡の新装置、恒星周囲の円盤を高精細に観測

2025/11/07
すばる望遠鏡が光ファイバー「フォトニック・ランタン」を組み込んだ新装置で恒星を取り巻くガス円盤を観測し、単一の望遠鏡としては史上最も高精細な画像を取得した。天体の微細構造の研究に新たな道を開く成果だ。

約70億年前の宇宙温度がビッグバン理論の予測と完全一致

2025/11/06
アルマ望遠鏡の観測データに基づいて測定された、70億年前の宇宙マイクロ波背景放射の温度が、ビッグバン宇宙論の予測値と完全一致した。宇宙論の検証に重要な制約を与える成果だ。

若い惑星環境を揺るがす巨大フレアの多温度・多速度噴出

2025/11/05
若い太陽型星から噴出する高温高速のガスと低温低速のガスが、せいめい望遠鏡、なゆた望遠鏡などで観測された。太陽に見られる「多温度・多速度の噴出現象」が太陽型星でも発生していることを直接裏付ける初の成果だ。

宇宙ニュートリノ多重事象の可視光追観測で爆発的天体仮説に強い制限

2025/10/30
南極点で実施されているIceCube実験が検出したニュートリノ多重事象に対し、初めて同時刻・同方向の広視野可視光線観測データが解析された。事象の起源となり得る爆発的天体の明るさなどに強い制限を与える結果が得られている。

クロックバースターの異常に短いX線バースト周期

2025/10/29
X線衛星「ニンジャサット」の観測により、クロックバースターと呼ばれるタイプの天体で短い周期のX線バーストが検出された。従来の理論では説明できず、これまで考慮されてこなかった効果があることが示唆される。

地上と宇宙の望遠鏡が共同、赤色矮星を周回する褐色矮星を発見

2025/10/28
すばる望遠鏡とケック望遠鏡、天文衛星「ガイア」による観測から、赤色矮星を回る褐色矮星が見つかった。明るさに変動が見られ、天候の変化が起こっている可能性がある。

隕石の分析で明らかにされた星間粒子の歴史

2025/10/24
コンドライト隕石に残存する星間粒子中のヘリウム原子の3次元分布が、世界初の装置で分析された。個々の星間粒子が誕生した時期や存在した環境の情報が含まれている。