木星や土星の核はゆっくり作られた小さな氷天体が集まってできた

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太陽系の2つの巨大ガス惑星、木星と土星の核は、ゆっくりと作られた数十cm程度の氷天体が集積してできたらしいことがコンピュータシミュレーションで示された。

【2015年8月21日 Southwest Research Institute

太陽系の惑星のうち巨大ガス惑星に分類される木星と土星は、太陽系で最初に作られた惑星だと考えられている。他の若い恒星系の観測から、中心の星を取り巻くガス円盤の寿命は100万年から1000万年ほどであることが示されており、太陽系でもこうしたガスが残っているうちに木星と土星が作られたはずだからだ。ちなみに地球は3000万年から1億年ほどかけて形成されたと考えられている。

若い恒星星系の想像図
若い恒星星系の想像図。ガス円盤がまだ残っているうちに巨大ガス惑星が作られている(提供:NASA/JPL-Caltech)

現在最も有力な理論である「コア集積モデル」によると、氷と岩石から成る惑星サイズの核(コア)が最初にでき、そこへ塵やガスが集まって巨大ガス惑星になるとされている。木星や土星ほど大量のガスが集積するには地球の質量の約10倍重い核が必要となるが、標準的な惑星形成モデルに当てはめると、こうした大きな核を作るには時間がかかりすぎてしまうという問題がある。

別のモデルでは、数cmから数mサイズの小天体が集まって微惑星となり、さらに残された小天体がそこへ蓄積して巨大ガス惑星の核になるとされる。この場合、地球質量の10倍の核は数千年で形成されるが、このプロセスをシミュレーションで再現すると地球と同程度の質量を持つ天体が数百個も形成されてしまい、現在の太陽系とはまるで異なる姿となってしまう。

米・サウスウエスト研究所(SwRI)のHal Levisonさんらはコンピュータを使ったモデル計算を行い、氷の小天体がゆっくり作られれば、2つめのモデルにおける天体数の問題が解決することを示した。この条件なら、最も大きい微惑星によって小さな微惑星が円盤の外へと弾きとばされ、小さい微惑星の成長が抑えられるので、最終的に巨大ガス惑星へと成長する微惑星の数が限られたものになる。Levisonさんらのモデルでは、恒星から5~15auの距離(太陽系でいうと木星や土星が存在する範囲)に1~4つの巨大ガス惑星が形成され、現在の太陽系とよく似た結果となったという。