どうやってできる? 月のクレーターから伸びる光条
【2015年4月7日 JAXA】
月のクレーターを天体望遠鏡で見ると、放射状に伸びる明るい「光条」が見える。これは、隕石などの衝突でクレーターが作られた際に噴射物が飛び散ってできるパターンだ。光条がなぜ明るく見えるかについては過去にも多くの研究が行われているが、なぜ不均一に分布するのかについてはあまり研究されることがなかった。
門野敏彦さんらの研究チームは、衝突実験の結果と月周回探査機「かぐや」(2007年~2009年に探査)の観測データを用いた解析の結果とシミュレーション計算とを組み合わせることによって、光条の不均一な分布がどのようにして生成されるのかについて調べた。
ガラスビーズなどを利用した衝突実験の結果、衝突による噴出物はゆるい網の目状に分布する事がわかった。この網の目状のパターンは、「かぐや」が地形カメラでとらえたクレーターの光条のパターンとひじょうによく似ていることも確認された。 さらにシミュレーション計算によって、粒子間の反発係数が小さい(はねかえりにくい)状態だとこのような明瞭な網の目状のパターンができやすいことが明らかになった。
この研究成果によって、これまでよくわからなかったクレーターの光条の形成プロセスが粒子の物性に影響されていることが示され、今後の天体表面における地史の解明に大きな手がかりを与えることが期待される。
〈参照〉
- JAXA: 衝突によって放出された粒子からなるクレータの光条の生成について
- Icarus: Crater-ray formation by impact-induced ejecta particles 論文
〈関連リンク〉
- 月周回衛星「かぐや」: http://www.kaguya.jaxa.jp/
- アストロアーツ:
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