11月5日は今年2度目の十三夜?

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旧暦8月15日は「十五夜=中秋の名月」、9月13日は「十三夜=後の月」としてお月見をする風習があるが、今年はさらにもう1度、今夜11月5日も月を眺めてみてはいかがだろうか。171年ぶりに「うるう9月」が挿入されたことによる「うるう9月13日」の月、いわば「後の十三夜月」である。

【2014年11月5日 アストロアーツ

お月見はもともと中国から伝わった習慣で、 月を見ながらお祝いをする行事だ。十五夜(旧暦8月15日、今年は9月8日だった)が中国起源であるのに対して、十三夜(旧暦9月13日、今年は10月6日)は日本固有の風習である。江戸時代には十五夜と十三夜の両方を祝い、どちらか片方の月しか見ないと「片月見」(または「片見月」)と言って縁起が悪いとされた。満月になることはない十三夜を祝うようになった理由には諸説ありはっきりしないようだが、欠けた月にも趣を感じるのは日本らしさかもしれない。

今夜は後の十三夜
今日11月5日の月は「後の十三夜」(「ステラナビゲータ」でシミュレーション)

さて、現在では旧暦は公式には使われていないものの、前述のようにお月見の日を決めるうえでは今でも参考にされている。旧暦(天保暦)の決め方に従うと、今年は旧暦9月(新暦9月24日スタート)と10月(同11月22日)とのあいだに「閏(うるう)9月(同10月24日)」が挿入されている。閏9月が発生するのは1843年以来、実に171年ぶりのことだ。この閏9月の13日が、今日11月5日。公式な名称は存在しないが、いわば「後の十三夜」とでも呼べるであろう。

閏月とは、月の満ち欠けによって決まる太陰暦の1年(約29.5日×12=約354日)と太陽暦の1年(365.2422日)とのずれを補正するために入れられる月のことで、前回は2012年に「閏3月(4月21日スタート)」があった。太陽暦の19年(6939.6日)と月の満ち欠けの235回分(6939.7日)がほぼ一致する(メトン周期)ので、「19年で7回の閏月」を入れれば(19×12+7=235)、ずれが大きくならないことになる。

閏9月が生じるのは単なる暦(しかも現在は公式には使われていない暦)のうえでのことであり、いわゆる「後の十三夜」の月が何か特別というわけではない。大きく見えたり明るく見えたりするわけではなく、いつもと同じ、満月2日前の欠けた月が見えるだけだ。とはいえ一方で、171年ぶりということに何か特別な思いを抱くのも、自然な感情といえるであろう。名月や暦について考えたり、あるいは単純に美しいものだと思ったりしながら、今夜の月を(そして明日以降の月も)眺めてみてはいかがだろうか。

なお、現在のルールがそのまま適用されると仮定した場合、38年後(19×2年後)の2052年10月7日は「閏8月15日」となる。この日を「後の十五夜」と呼ぶかどうかは、38年後に考えたい。

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