月の砂に含まれる水は、太陽風で作られていた

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月の砂に含まれる水は、太陽風の中の陽子が砂の中にある酸素に衝突することで生成されたものがほとんどであり、彗星や隕石の衝突によってもたらされたものは少ないという研究成果が発表された。

【2014年10月8日 Phys.Org

NASAの宇宙飛行士が初めて月から石と砂を持ち帰った時代、月面は乾いた場所であり、水など存在しないと考えられていた。しかしその後、進歩した技術によって、月面の一部の領域に水が存在すること、さらに月面の砂の中にも少ないながらも水が存在することが明らかになった。

そうした水の起源は彗星や隕石の衝突であると考えられてきたが、ソルボンヌ大学のAlice StephantさんとFrançois Robertさんは、その考えを否定する研究成果を発表した。Stephantさんらによると、太陽風の中の陽子と月の砂に含まれるケイ酸塩中の酸素が衝突して化学変化を起こし水が作られるのだという。

Stephantさんらは月面で採取された斜長石のリチウム同位体比率から水素の同位体比率(重水素と水素の比率)を計算し、実際にサンプルに含まれる水と比較した。すると、砂粒に含まれる水のうち平均して15%がおそらく彗星や隕石によって外部からもたらされたもの、それ以外が太陽風との相互作用で生成されたものであることが明らかになった。サンプルの中には、太陽風との相互作用で生成された水のみのものもあった。

両氏による研究成果は、あくまで月の表面で発見された水に関するものであり、表面下に存在する水の起源については、いまだ推測の域を出ない。

月探査機ルナー・リコナサンス・オービターが2009年6月にとらえた月
月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)が2009年6月に撮影した月(提供:NASA)