月の内部はやはり乾燥している
【2017年8月28日 UC San Diego】
月の歴史や形成について知るうえで、水や揮発性物質などの量は重要な手がかりを与えてくれる。「月が湿っているのか乾燥しているのかは、ささいなことに聞こえるかもしれませんが、実はとても重要な問題です」(米・スクリップス海洋研究所 James Dayさん)。
Dayさんたちの研究チームは1972年にアポロ16号のミッションで月面から採取された、「Rusty Rock」と呼ばれる月の石の破片を分析した。
Rusty Rockの表面は、さびたようになっているが、そのさびには軽い亜鉛の同位体が大量に含まれていることがわかった。これは高温だった月の形成期の間に蒸発した亜鉛が、月の温度が下がるにつれて月面に凝縮した結果できたものかもしれない。
海水が蒸発して雲ができるとき、雲には軽い酸素の同位体が、海には重い酸素の同位体が多くなるのと似たようなことだ。同様に考えると、月の内部は重い同位体が豊富で、軽い同位体や揮発性元素がなくなってしまっているはず、つまり月は「乾燥」しているはずである。「月が乾燥しているのなら、月がある種の激しい衝突で形成されたとする説と一致することになります。月は形成時には極めて熱かったのです」(Dayさん)。
今回の結果は、最近別の研究チームによって発表された「月の内部に水の存在を示唆」する成果(参照:「月の内部に水が存在する新たな証拠」)と相反するものだ。月は湿っているのか乾燥しているのか、研究の進展に期待がかかる。
〈参照〉
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