2万5000光年彼方、天王星のような巨大氷惑星

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天王星のような軌道を持つ系外惑星が2万5000光年彼方に発見された。天王星や海王星のような巨大氷惑星候補が太陽系外に見つかったのは初めてのことだ。

【2014年10月30日 Ohio State UniversityNASA JPL

太陽系の惑星は大きく3タイプに分けられる。岩石惑星(水星から火星)、巨大ガス惑星(木星と土星)、そして巨大氷惑星(天王星と海王星)だ。これまでに1800個以上見つかっている太陽系外惑星にも岩石惑星や巨大ガス惑星とみられるものは存在していたが、巨大氷惑星に分類されるものはまだ見つかっていなかった。

天王星
ハッブル宇宙望遠鏡が2005年に撮影した天王星(提供:NASA, ESA, and M. Showalter (SETI Institute))

今回、重力マイクロレンズ効果という手法で系外惑星の捜索を行っている研究グループが発見したのは、さそり座の方向2万5000光年彼方にある恒星OGLE-2008-BLG-092Lの周りを回る天体だ。質量は天王星の4倍、中心星からの距離はちょうど太陽から天王星(太陽から地球の約20倍)と同じ程度である。遠すぎるために惑星の化学組成は不明だが、中心星からの距離から判断すると、巨大氷惑星と考えられる。また中心星は連星系で、そのため惑星の軌道が乱されている可能性もある。

重力マイクロレンズ効果とは、大質量の天体の重力で光が曲げられ、その向こう側の天体が明るく見える現象である。この効果による系外惑星探索は中心星からひじょうに遠い軌道の系外惑星を見つけることができる唯一の手法であり、今回の発見はその可能性を示した。

「今回の発見によって、太陽系内の巨大氷惑星の起源のなぞに迫れるかもしれません。天王星と海王星がなぜ太陽系の端に位置しているのか、だれも明確な答えを知りません。計算モデルでは、もっと太陽の近くで形成されたことが示されています。現在よりもはるかに太陽の近くで形成されて、その後木星や土星によって押しのけられ、太陽系の外側へと移動したというのが、1つの考え方です」(米・オハイオ州立大学のAndrew Gould教授)