JWSTが天王星の新衛星を発見

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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測から、天王星に新たな衛星が発見された。天王星の衛星数は29個となる。

【2025年8月22日 NASA

今年2月2日、米・サウスウエスト研究所のMaryame El Moutamidさんたちの研究チームが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で「天王星の環と内衛星の力学と構造」をテーマとした約6時間の観測を実施した。そのデータから、天王星の新衛星が見つかった。天王星の衛星数は29個(確定数は27個)となる。JWSTによる衛星の発見は今回が初めてだ。

S/2025 U 1
JWSTの近赤外線カメラ「NIRCam」がとらえた、天王星と環、13個の衛星と新衛星「S/2025 U 1」(提供:NASA, ESA, CSA, STScI, M. El Moutamid (SwRI), M. Hedman (University of Idaho))

新衛星(仮符号S/2025 U 1)は天王星の中心から約5.6万kmの距離を10時間弱で公転し、天王星の5大衛星(ミランダ、アリエル、ウンブリエル、タイタニア、オベロン)の内側を周回する衛星群(内衛星)に属する。反射率が他の天王星の衛星と同程度であると仮定すると、直径は約10kmと見積もられ、天王星の内衛星の中でこれまで最小とされてきたものよりも小さく暗い。

「14個もの内衛星を持つのは天王星だけです。衛星と環との複雑な相互関係は、それらの境界を曖昧にするような混沌とした歴史を示唆しています」(米・SETI研究所 Matthew Tiscarenoさん)。

「約40年前に探査機『ボイジャー2号』が天王星に接近し、私たちに初めて天王星系を見せてくれました。それから約40年を経た今、JWSTは太陽系観測のフロンティアをさらに押し広げています」(El Moutamidさん)。

タイムラプス動画「New Moon Discovered Orbiting Uranus Using NASA’s Webb Telescope」(提供:NASA, ESA, CSA, STScI, M. El Moutamid (SwRI), M. Hedman (University of Idaho), Animation: J. DePasquale (STScI))

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