水星のように高密度で金属質の系外惑星
【2018年4月3日 ウォーリック大学】
NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」は、惑星が中心星の手前を通り過ぎる際に星の明るさがわずかに暗くなる現象(トランジット)を観測することにより、メインミッションと延長のK2ミッションを合わせてこれまでに2500個以上の惑星を発見してきている。現在存在が知られている系外惑星のうち7割近くはケプラーの観測データから発見されたものだ。
仏・エクス・マルセイユ大学のAlexandre Santerneさん、英・ウォーリック大学のDavid Armstrongさんたちの研究チームはケプラーのK2ミッションによる観測から、おとめ座の方向339光年彼方にあるK型矮星(橙色矮星)「K2-229」に系外惑星を発見した。この惑星「K2-229 b」は中心星から0.012au(約180万km)の距離を14時間周期で公転している。この距離は、地球から太陽までの約100分の1ほどと非常に小さいため、惑星の昼側の温度は摂氏2000度以上もある。
Santerneさんたちはさらに、惑星の重力に引っ張られて中心星が動く様子を観測し、そのデータをもとに惑星の質量を求めた。その観測から、K2-229 bは直径が地球の1.2倍程度、質量は2.6倍ほどであることがわかり、K2-229 bが非常に高密度の天体であることが明らかになった。
「このような高密度の惑星が見つかったことに驚いています。太陽系の場合、水星では全質量に占める金属質の核の割合が非常に大きく、他の地球型惑星とは異なっています。その水星と同様にK2-229 bも金属質のようです。実は高密度の系外惑星は、それほど珍しくはないのかもしれません」(Armstrongさん)。
こうした高密度の惑星の起源としては様々な可能性が考えられる。たとえば、中心星に近すぎるために大気が強烈な恒星風によってはぎとられ、核の部分だけが残された惑星かもしれない。あるいは、地球が火星程度の大きさの天体と衝突した後に月が形成されたという理論と同様に、巨大な2つの天体の衝突によってK2-229 bが形成されたという可能性もある。
遠くにある系外惑星の詳細を明らかにすることは、太陽系がどのように形成されたかという手がかりにもなる。特にK2-229 bは水星と似ていることから、K2-229 bの研究から水星について新たな知見が得られるかもしれない。「K2-229には複数の惑星が見つかっていますが、どれも太陽系の水星軌道よりも内側に相当する、中心星に非常に近い位置にあります。こうした惑星の発見が増えれば、水星がどのように形成されたかもわかってくるでしょう」(Armstrongさん)。
〈参照〉
- ウォーリック大学:Newly-discovered planet is hot, metallic and dense as Mercury
- Nature Astronomy:An Earth-sized exoplanet with a Mercury-like composition 論文
〈関連リンク〉
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