探査機「ベピコロンボ」が3回目の水星フライバイ

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日欧の探査機「ベピコロンボ」が6月20日に3回目の水星フライバイを行い、水星の上空236kmの距離を通過した。

【2023年6月23日 ヨーロッパ宇宙機関

JAXAの水星磁気圏探査機「みお(MMO)」と、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の水星表面探査機「MPO」の2機からなる共同ミッション「ベピコロンボ」は、日本時間の6月20日午前4時34分に水星の地表から236kmの高度まで接近した。今回の接近飛行は、同探査機が水星周回軌道に入るまでに必要な6回の水星フライバイのうち3回目となる。

最接近時のベピコロンボは太陽光が届かない水星の夜側にいたが、遠ざかるにつれて昼側の地形が探査機のモニターカメラでとらえられるようになった。その中には直径218kmの「マンリー・クレーター(Manley Crater)」の姿もある。ジャマイカの芸術家エドナ・マンリー(1900-1987)に因むその名前は、今月13日に国際天文学連合によって承認されたばかりだ(水星のクレーター名は音楽家や画家、作家などから採用される)。

「このクレーターは将来、ベピコロンボに携わる科学者たちにとって、間違いなく興味深い探査対象となるでしょう。というのも、水星の初期に存在した炭素に富む地殻の名残かもしれない、反射率が低くて暗い色の物質が、そこで掘り起こされているからです。加えて、クレーター内の窪みは滑らかな溶岩で満たされていて、水星の火山活動が長期にわたっていたことを示しています」(英・オープン大学、ベピコロンボモニタリングカメラ撮像チーム David Rotheryさん)。

水星
日本時間20日4時56分に表面から4000km以上離れた位置から撮影された水星。マンリー・クレーター(Manley)やビーグル断崖(Beagle Rupes)も写っている(提供:ESA/BepiColombo/MTM)

そのほか、2008年にNASAの探査機「メッセンジャー」が発見した「ビーグル断崖(Beagle Rupes)」も見られる。断崖の全長は約600kmで、細長い楕円形の「スベインスドッティル・クレーター(Sveinsdóttir Crater)」を貫いている。

「この地域は、水星の地殻変動史を研究するのにうってつけです。これらの断崖に見られる複雑な相互作用は、惑星が冷えて収縮するときに地殻が滑って崩れたことを示しています。そうして作られた数々の奇妙な地形は、水星周回軌道に入ったときに詳しく調べる予定です」(伊・国立天体物理学研究所 Valentina Galluzziさん)。

ベピコロンボの主星周回軌道投入は2025年12月の予定で、残り3回の水星フライバイが残されている。次回のフライバイは2024年9月だが、それまでにもベピコロンボ運用チームがやるべきことは多い。今後ベピコロンボは、電気スラスターの推進力で太陽の強力な重力に対してブレーキをかける重要な期間に入る。スラスターは8月初めから約6週間稼働し、その後も断続的に、数日から最大2か月間の出力が実施される予定だ。

ベピコロンボが3回目の水星フライバイ直後から24時間あまりで撮影した217枚の画像をつなぎ合わせた動画。後半は、マンリー・クレーターやビーグル断崖を含む領域の3次元モデルを表示している(提供:Image: ESA/BepiColombo/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO; Music composed by ILĀ.)