【レポート】いて座A*ブラックホールシャドウ記者会見

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いて座A*のブラックホールシャドウの画像が発表された5月12日、天文台マダムこと梅本真由美さんと「星ナビ」編集部が記者会見に参加した。その様子をレポート。

【2022年5月16日 星ナビ編集部

レポート:梅本真由美さん(天文台マダムVERAに夢中!

2022年5月12日(木)22時からイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)の記者会見が行われました。司会は渡部潤一さん。成果となる画像は世界同時発表ということで、22時07分に公開されました。

「えっ、なんで07分なの?」

以前関係者に聞いた話ですが、欧米流の記者発表だとよくあるスタイルのようです。7分の間にスピーチで盛り上げて、会場があたたまったところでドーンと衝撃的に発表するのだとか。なるほど、Appleの新製品発表などを見るとそんな感じがしますね。発表者の森山小太郎さんが7分でプロジェクトの概要を説明し、会場の照明が落とされ、いよいよ画像公開!

いて座A*の画像発表
全世界同時発表の22時07分、人類が初めて目にする、天の川銀河の中心部にある超大質量ブラックホールの輪郭がスクリーンに映し出された。同様の記者会見が、ワシントンDC(米)、ガルヒンク(独)、メキシコシティ(メキシコ)、サンティアゴ(チリ)、上海(中国)、台北(台湾)で同時に行われた(取材写真:星ナビ編集部、以下同)

「…穴だ!」

私の心のつぶやき第一声です。真ん中に黒い穴、ブラックホールシャドウの存在がくっきり!現場はシャッター音の渦。私も2、3枚撮影をし、心からの拍手を送りました。これを書いているのは記者会見から一夜明けた余韻の中。頭の中が情報でいっぱいいっぱいなのと、後からじわじわくる感動が混在し涙腺が緩んでいます。あの「一枚の画像」を得るために、解析にかかった時間は5年。その最前線で活躍した、森山小太郎さん、小藤由太郎さん、小山翔子さんの発表は、落ち着いた口調でとても聞きやすかったのが印象的でした。時間分解能や数理統計などの難しい内容を、短時間で、素人の私たちにもわかる言葉を選んで説明していましたよね。あるメンバーに聞いたところ、前日の午前1時まで「どう伝えればわかりやすいだろうか」と綿密に打ち合わせをして臨んだ発表だったそうです。

登壇者のみなさん
記者会見の内容と発表者。(左上)1. 研究の背景、研究成果の発表(22時07分)、観測データの画像化について/森山小太郎さん(ゲーテ大学フランクフルト)、(左下)2. 研究成果の科学的な意義、今後の展開と課題/小藤由太郎さん(東京大学・国立天文台)、(右上)3. 日本の貢献について/小山翔子さん(新潟大学・台湾中央研究院)、(右下)4. まとめ・謝辞など/本間希樹さん(国立天文台)。画像クリックで表示拡大)

最後に本間希樹さんが登壇し、謝辞を述べた後、EHTは若手がたくさん活躍しているプロジェクトであることを強調し、重ねて若手研究者をとりまく状況の厳しさを訴えました。「記者の皆さんにお願いがあります」と呼びかけ、若手研究者からコメントをとって紹介してもらえると励みになると述べました。実力のある若手研究者たちが、少しでも安定したポストを得て研究が続けられるようにと願う本間さんの切実な配慮が伝わってきます。

国立天文台水沢では、若手支援のクラウドファンディングを展開しています。なんと、まさにこの記者発表の日、しかも開始直前に目標額を達成したんです!じつは私、記者発表までのあいだ手元のスマホで見守っていたのですが、20時04分の段階であと4万円、20時29分に見たら10,060,000円と達成済でした。このタイミングで目標額達成というのは偶然とはいえ象徴的ですよね!クラウドファンディングは今後も若手支援のため、引き続き第二目標への挑戦を設定したことが述べられました。

記者会見場の様子
記者会見場の様子。3密を避け、司会や登壇者もマスク着用のまま発表するなど、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した形で行われた(左)。(右上)会見終了後の個別取材で本間希樹さんを取材中の「星ナビ」チーム。(右下)質疑応答のトップバッターは「星ナビ」の石川編集員。鋭い質問を投げかける。画像クリックで表示拡大

EHTメンバーは10名が臨席し、会見終了後の個別質問に応じました。膨大なデータ解析の話を聞いただけでも気が遠くなりますが、その前段階として世界中からの同時観測があります。複数の観測地、異なる天候、仕様の異なる望遠鏡…その前段階として各機関の事前調整があり、その前段階として計画を立て…。あの画像を得るのがいかに大変か。森山さんから思わず「感無量」という言葉が出ましたが、それを実感するだけのことをやってきた表れなのだと思います。

個別質問では各社とも若手研究者からコメントをとっていました。コロナ禍での記者会見、人数を絞ってでも対面で開催していただけたことに感謝。私も心おきなく突撃し、未解決問題、新たな課題、進捗状況など、もろもろお聞きしました。

発表内容は「天の川銀河の中心ブラックホールを撮影成功」を参照。記者会見の詳細は「星ナビ」2022年7月号にて!こうご期待。
星ナビ2022年7月号

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