重力データから明らかにされたケレスの内部構造

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探査機「ドーン」の動きの計測から、準惑星ケレスの内部構造が明らかにされた。ケレスの密度が地球や月などに比べてはるかに低いことが確かめられ、ケレス内部がいくつかの層に分かれていることが示された。

【2016年8月10日 NASA

NASAの探査機「ドーン」は2015年3月から準惑星ケレスの周回探査を行ってきた。数万枚にのぼる撮影画像からはケレスの内部を窺い知ることはできないが、ドーンの動きのわずかな変化を調べれば、ケレスの内部構造や地形によって生じる重力の違いを測定することができる。ドーンから地球に送り返される電波から探査機の速度が秒速0.1mmという誤差精度で測られ、それをもとにしてケレスの重力場の地図が作られた。

NASAジェット推進研究所のRyan Parkさんらの研究によれば、ケレス内部は深さによって明確に組成が違う層構造をしており、その中心には密度の高い核が存在しているようだ。また従来の推定どおり、ケレスの密度が地球や月、小惑星ベスタなど太陽系内の他の岩石質天体に比べてずっと低いことが確かめられた。ケレスには水の氷など低密度の物質が含まれていると考えられてきたが、こうした物質は岩石質の物質とは分けられて外側の層に存在しているとみられる。

ケレスの内部構造の想像図
ケレスの内部構造の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

これまでに得られてきたケレス表面の組成データと、重力データをもとにした内部構造の新情報とを合わせることで、ケレスが辿ってきた歴史を再構築することができる。「これまでの調査で、ケレス内部では水と岩石との相互作用が起こっていたはずだと考えています。今回明らかになった内部構造と合わせて考えると、ケレスでは熱に関する複雑な歴史があったと思われます」(NASAジェット推進研究所 Carol Raymondさん)。

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