ベスタ由来の隕石に40億年前の小天体爆撃の痕跡

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【2013年3月27日 NASA

約40億年前に地球周辺を襲ったとされる小天体集中衝突の痕跡が、小惑星ベスタ由来の隕石からも見つかった。


月と小惑星ベスタの岩石サンプル

ベスタ由来の隕石に含まれるアルゴン同位体の分析から、太陽系内部とともに重爆撃を受けたことが判明した。衝突の跡が残る月の裏側(左)は探査機「ルナー・リコナサンス・オービター」、ベスタは「ドーン」による観測画像。クリックで拡大(提供:NASA/GSFC/ASU/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

今日3月27日は満月。その月には、約40億年前に次々と飛来した小天体により刻まれたとされるクレーターや盆地が残っている。太陽系の誕生から間もないころ、「後期重爆撃期」と呼ばれる時代におけるこうした集中的な衝突は、木星や土星のような巨大ガス惑星の軌道が移動し、それらの重力の影響で軌道が変わった小天体の一群が太陽系の内側に飛び込んできたものと考えられている。

この重爆撃期については、1960〜1970年代にアポロ計画で持ち帰られた月の石が多くを物語っているが、NASAの月科学研究所(NLSI)などにより、小惑星ベスタ由来の隕石からも、同時期に高速で衝突を受けた痕跡が見つかった。ベスタは火星軌道と木星軌道にはさまれた小惑星帯の中で2番目に重い大型天体で、直径は約530km。初期の小惑星帯を再現したシミュレーションでも、ベスタを襲った衝突物は、月に高速でぶつかり得る軌道を持つことがわかった。

この研究成果は、後期重爆撃期がいつ始まったか、どのくらいの間続いたかについての新しい情報を提供するものだ。また、重爆撃は太陽系の内側だけでなく、小惑星帯自体をも襲ったイベントであったということを示している。