かんらん石でわかる、小惑星ベスタの複雑な過去

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【2013年11月11日 NASA

NASAの探査機「ドーン」の観測で、小惑星ベスタの露出マントルにかんらん石が検出されないという結果が発表された。地球と同じようなコア、地殻、マントルの分化プロセスをたどったと考えられていた天体が、意外に複雑な歴史を持つことが示唆される。


かんらん石が見つかった北半球のクレーター

かんらん石が見つかった北半球のクレーター(画像左と右)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/ASI/INAF)

地球などの岩石惑星と同様のプロセスで形成されたと思われていた大型小惑星ベスタには、実はもっと複雑な歴史があるらしい。内部からの熱により核とマントル、地殻の分化が起こった場合、マントル部にかんらん石が集中する。だがNASAの探査機「ドーン」が、ベスタの南半球のクレーターでマントルが露出した部分を観測したところ、かんらん石が検出されなかったのだ。

さらに意外なことに、北半球の地表物質にかんらん石のはっきりした兆候が見つかったという。

この観測結果から考えられるのは、おそらくベスタは全球的にではなく部分的にしか溶解しなかったということだ。かんらん石の局所的な塊のみが作られ、南半球のクレーターに見られるマントルでは、かんらん石がほかの物質に覆い隠されてしまっているのだろう。

今回の観測結果は「ベスタの起源に関するさまざまな説を検証するきっかけになる」(NASAのCarol Raymondさん)という。

2011年から約1年間ベスタを調査したドーンは、現在準惑星ケレスに向かっている。2015年初めに到着して周回探査する予定だ。