編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

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■2004年5月

 本誌でも何度も紹介してきたが、リニア彗星、ニート彗星が接近してきた。両彗星の増光ぐあいが気になるが、4月末以降、どのような姿を見せてくれるのか楽しみだ。特集記事のP15の表にあるように、過去30年を遡っても今回の両彗星はトップ10入りしそうな明るさになると予想されている。まだ記憶に新しい百武彗星、ヘール・ボップ彗星と同じくらいに盛り上がってほしいし、これを機会に多くの人が天文に興味を抱いてくれれば嬉しい。撮影派には今回の彗星は昨年大接近した火星と同じように、デジタルで撮影する最初の明るい彗星となる。彗星が見えている期間はそう長くない。事前に本誌の特集記事などを参考に準備し、すばらしい写真が撮影できたら編集部宛に送っていただきたい。

 先日、撮影で西伊豆に出かけた。低気圧が通過し一時的に冬型の気圧配置になり、強風が吹き荒れたが、空はきれいに晴れ上がった。青さが残る空のなかにマイナス4等で輝く金星をみつけたとき、ふと頭に浮かんだのは「客星」という言葉だった。客星とは突然現われたという意味で、現在でいう超新星爆発のことだが、1054年に出現した客星は中国の宋史、日本の明月記などに記録されていて、その明るさは最大でマイナス4〜5等だったようだ。当時は光害などない時代だから、突然現われた星に人々は驚いたにちがいない。しかし「天変」といえる刺激的な天文現象があった時代に生きた人たちが正直いって羨ましい。記録ではマイナス等級の超新星は、1572年、1604年に出現、それ以来出現していない。はたして自分が生きている間に客星に出会えるだろうか?

 さて春は新しいことが始まる季節。ということで、次号より大川編集員に編集長をバトンタッチすることにした。振り返ってみると、この間、火星の「超」大接近あり、今回の二大彗星の接近など、話題も多く個人的にも充実した時だったように思う。次号より新体制でこれまで以上に頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

(敬)

コンプリートにあと一歩及ばず……

収集した王立科学博物館のフィギュア。
シークレットアイテムの「フォンブラウンの夢」は、藤田編集員より略奪。
それでも揃えられない自分はやはりだらしない?



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