大質量星形成領域が銀河面から遠ざかる様子をVERAで観測

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天の川銀河の立体地図を作るVERAプロジェクトの観測で、はくちょう座方向にある大質量星形成領域が銀河面から遠ざかる動きなどが精密に測定された。この運動は、領域付近に広がる巨大バブル構造の膨張を反映したものとみられる。

【2015年5月29日 国立天文台VERA

遠く離れた位置にある複数の電波望遠鏡を用いて天の川銀河の三次元立体地図作りを目指すプロジェクト「VERA」では、銀河内の天体からの水メーザー(水分子で増幅されたマイクロ波放射)を観測し、その距離と運動を高精度で測定している。

新たな成果として発表されたのは、はくちょう座方向に広がる大質量星形成領域IRAS 20126+4104の測定結果だ。この領域は天球上では、はくちょう座の北十字の交差点(はくちょう座γ星サドル)あたりに位置し、空間的には銀河面から100pc(約326光年)ほど離れている。

IRAS 20126+4104の赤外線画像
IRAS 20126+4104の赤外線画像(出典:R.Cesaroni et al. 2013, A&A)

国立天文台の永山匠さんを中心とした研究チームの観測によると、IRAS 20126+4104の年周視差は0.750±0.092mas(mas:ミリ秒=角度の1秒(3600分の1度)の、1000分の1)で、この年周視差から算出すると同領域までの距離が約1.33kpc(約4300光年)となった。また、IRAS 20126+4104は銀河面から秒速約16kmで遠ざかっていることがわかった。

IRAS 20126+4104の位置と運動
画像中央やや右上の青い円錐がIRAS 20126+4104。緑の矢印(ヒッパルコス衛星のデータ)はスーパーバブルの膨張を示している(出典:Nagayama et al. 2015, PASJ)

IRAS 20126+4104付近には「スーパーバブル」と呼ばれる構造が広がっているが、このスーパーバブルは超新星などの爆発の残骸だという説があり、人工衛星「ヒッパルコス」の観測でもバブル付近の星の運動は膨張を示唆している。スーパーバブルのガスに付随しているIRAS 20126+4104でも同様の運動が観測されたことで、バブルが爆発現象によって作られたという説がさらに強まった。