大質量星形成領域のメーザー源の運動を検出、円盤状構造の存在を示唆

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東アジアVLBIネットワークの電波望遠鏡による観測で、大質量星形成領域に存在するメタノールメーザー源の内部固有運動が計測された。回転膨張運動を示唆する結果が得られ、原始星円盤の運動を示している可能性がある。

【2016年1月15日 国立天文台VERA

茨城大学の杉山孝一郎さんたちの研究グループは東アジアVLBIネットワークの7台の電波望遠鏡(水沢、入来、小笠原、石垣島のVERA4局+上海25m望遠鏡+山口32m望遠鏡+茨城32m望遠鏡)を用いて、メタノールメーザー(宇宙のメタノール分子によって増幅されたマイクロ波放射)源の内部固有運動の統計的調査を行ってきた。

いて座の方向に位置する大質量星形成領域「G006.79-00.25」に付随する、複数の6.7GHz帯メタノールメーザー源の観測から、メーザー源の運動の大きさが毎秒1~10kmで、メーザー源が示す楕円形状の空間分布に沿った反時計回りの運動傾向を示しているという結果が得られた。

メタノールメーザー源の重心位置に対する内部固有運動の様子
G006.79-00.25に付随する6.7GHz帯メタノールメーザー源の重心位置(○印)に対する内部固有運動の様子。円錐形のプロットがメーザー成分の内部固有運動(提供:Sugiyama et al. 2015, PASJ)

この内部固有運動と視線速度を併せた三次元運動構造に対して円盤モデルを当てはめ、円盤の傾きや回転速度、膨張速度を計算したところ、半径1260天文単位(約1900億km)という構造の描像が示唆された。さらに膨張運動について、典型的なメタノールメーザー源の磁場強度を用いて見積もったところ、円盤構造自体が膨張しているのではなく、磁気遠心力に伴う円盤風で円盤外側のガスが吹き飛ばされる運動に起因している可能性が示唆された。

6.7GHz帯メタノールメーザー源は大質量原始星の近傍の描像に迫る事ができるツールとして期待されている。メーザー源の様々な描像が統計的に得られれば、原始星周辺の三次元運動構造を調べる大きな手がかりとなるだろう。