高速自転が引き起こす木星のオーロラ爆発
【2015年3月25日 JAXA】
地球の1000倍以上という強い磁力を持つ木星では、プラズマ化した衛星イオ由来のガスや太陽風と木星磁気圏との相互作用によって、オーロラが常時発生している。しかしオーロラの突発的増光、いわゆる「オーロラ爆発」は断片的にしか観測されておらず、地球と同様に太陽風が原因でオーロラ爆発が起こるのか、それとも木星自身が原因なのかはわかっていなかった。
JAXAの木村智樹さんらは惑星分光観測衛星「ひさき」で木星を長時間連続で観測し、太陽風が静かなときの木星のオーロラ爆発現象を連続的にとらえることに成功した。これは、オーロラ爆発が木星の磁力と高速自転(10時間周期)によって引き起こされることを示唆している。
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)での詳細な観測から、木星のオーロラ爆発は木星磁気圏全体が急速に活性化することで起こる可能性が高いこともわかった。
〈参照〉
- JAXA: 高速自転が引き起こす、木星のオーロラ爆発
- Geophysical Research Letters: Transient internally-driven aurora at Jupiter discovered by Hisaki and the Hubble Space Telescope 論文
〈関連リンク〉
- JAXA: http://www.jaxa.jp/
- アストロアーツ:
- 【特集】木星を見よう(2015年)
- 投稿画像ギャラリー:2015年 木星
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
- 「太陽系ビジュアルブック 改訂版」
- 「天体観測の教科書 惑星観測編」
- 「ここまでわかった新・太陽系」
〈関連ニュース〉
- 2015/03/19 - 北海道で11年ぶりにオーロラを観測 今月のオーロラ大出現
- 惑星分光観測衛星「ひさき」:
- 2014/10/02 - 世界初、「ひさき」がとらえた木星磁気圏の電子の流れ
- 2013/11/27 - 惑星分光観測衛星「ひさき」、搭載装置の初期確認を完了
- 2013/09/15 - イプシロン打ち上げ成功 惑星分光観測衛星「ひさき」誕生
- 地球以外でも見られるオーロラ:
- 2015/03/20 - クリスマスに現われた火星のオーロラ
- 2015/03/13 - オーロラから探る、ガニメデの地下海
- 2010/09/27 - 土星のオーロラが1日で変化するようす
- 2007/03/14 - チャンドラとハッブルがとらえた木星のオーロラ
- 2000/12/28 - ハッブル宇宙望遠鏡最新画像集
- 1998/10/14 - イオのオーロラ
- 1996/10/23 - Hubble follows rapid changes in Jupiter's aurora
〈関連製品〉
関連記事
- 2024/10/04 今年5月に日本で見られたオーロラを発生させた太陽嵐を電波観測
- 2024/09/10 【特集】木星(2024~2025年)
- 2024/08/27 探査機「ジュース」、世界初の月・地球ダブルスイングバイを実施
- 2024/08/07 2024年8月中旬 火星と木星が大接近
- 2024/07/03 2024年7月上旬 木星とアルデバランが接近
- 2024/06/28 2つの特殊なオーロラの発生要因が明らかに
- 2024/05/13 日本など各地で低緯度オーロラを観測
- 2024/04/12 2024年4月下旬 木星と天王星が大接近
- 2024/03/29 衝突シミュレーションで探る氷衛星エウロパの構造
- 2024/02/07 2024年2月15日 月と木星が接近
- 2024/01/11 2024年1月18日 月と木星が接近
- 2023/12/20 惑星分光観測衛星「ひさき」運用を終了
- 2023/11/21 2023年12月22日 月と木星が接近
- 2023/11/16 2023年11月25日 月と木星が大接近
- 2023/10/26 2023年11月3日 木星がおひつじ座で衝
- 2023/10/20 2023年10月29日 月と木星が接近
- 2023/09/14 10例目、木星表面の閃光現象がとらえられる
- 2023/08/29 2023年9月4日 月と木星が接近
- 2023/08/02 【特集】木星(2023~2024年)
- 2023/07/05 2023年7月12日 月と木星が大接近