「あかつき」、12月7日に金星周回軌道へ

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金星探査機「あかつき」が今年12月7日、金星周回軌道への投入に再び挑戦する。2010年12月にメインエンジンの不具合で失敗しており、代替エンジンを利用して予定と異なる軌道に入る。

【2015年2月6日 JAXA宇宙科学研究所

JAXAは6日、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入を今年12月7日に行うことを発表した。

2010年5月に打ち上げられた「あかつき」は同年12月7日に金星周回軌道に入る予定だったが、メインエンジンの不具合により失敗。以降は金星軌道付近で太陽を回っており、金星軌道よりも内側に入るという予定外の高温環境に耐えながら、再び金星に近づくチャンスを待っていた。

新軌道での観測計画概要
当初予定の軌道と新たな軌道を比較した観測計画の概要。クリックで拡大(発表資料より)

今年12月の再挑戦では、姿勢制御用のエンジン4基を約20分間噴射する。推力はメインエンジンの2割ほどしかないので、当初の予定軌道(30時間周期)に比べて金星から大きく遠ざかる8~9日周期の軌道に入ることになる。

金星到着後は3か月間かけて観測機器のチェックを行い、2~4年のミッション期間で大気の動きを観測する予定だ。近金点(「あかつき」と金星が最も近づく点)での高度や速度はほぼ当初の予定軌道と同じだが、遠近点では金星から大きく遠ざかる。そのため詳しい観測ができる時間が限られ、大気の動きを追跡しながらの観測ができなくなったが、大規模な現象を長期にわたって追いやすいというメリットがある。また金星到着が遅れたことで、昨年12月に運用を終了した欧州の探査機「ビーナスエクスプレス」の最新成果を観測に活かすことができる。

前回からちょうど5年後の軌道投入日となるが、これは全くの偶然とのこと。中村正人プロジェクトマネージャは「お祭り騒ぎではなく、粛々と責任を果たしていきたい。たまたま同じ日になったが、感傷的になることなく冷静に事を進めたいと考えている」と話した。

中村正人プロジェクトマネージャ
ミッションについて説明を行う中村正人プロジェクトマネージャ(撮影:アストロアーツウェブ編集部)

軌道投入当日の明け方の空
軌道投入当日の明け方の空(「ステラナビゲータ」でシミュレーション)


探査機の位置と航路

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、「あかつき」など主な探査機の位置や航路を表示することができます。

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