「あかつき」、4月中旬から金星を本格観測

このエントリーをはてなブックマークに追加
探査機「あかつき」は昨年12月に金星周回軌道に入り、その後は軌道修正や試験観測を行ってきた。今月中旬からの定常観測の開始を前に、観測期間を2倍以上延ばすことを目指した追加の軌道修正が4日に実施された。

【2016年4月5日 JAXA

「あかつき」は昨年12月7日に金星周回軌道へ投入された後、12月20日の軌道修正を経て、ほぼ予定どおりの軌道に入った。

その後、機器を順次立ち上げて試験観測が行われてきており、ミッション達成における最低限の目標である「ミニマムサクセス」に相当する観測が実施された。「あかつき」の場合のミニマムサクセスは「雲が東西方向に1周する1週間にわたって、金星周回軌道上からいずれかのカメラによって画像を連続的に取得し、全球的な雲の構造をとらえること」だ。

4つのカメラによる金星擬似カラー画像
4つのカメラによる金星擬似カラー画像。昨年12月撮影(提供:JAXA)

今後は、金星大気の3次元的な運動の解明や雷放電の確認、温度構造の観測といった、打ち上げ前に予定していた「フルサクセス」までの研究計画を目指しており、4月中旬頃から定常観測へ移行する見込みとなっている。

その定常観測を前に、「あかつき」の追加の軌道修正が4日に行われた。成功していれば、観測できる期間が約800日から約2000日と大幅に延びることになる。軌道修正の結果は後日報告される。

搭載機器の試験観測結果(まとめ)

1μmカメラ(IR1):
機能確認結果は正常。金星周回軌道投入(VOI)直後に公開した画像は昼側の雲画像だが、その後、夜側の地表面の撮像にも成功した。
2μmカメラ(IR2):
VOI直後に昼側の雲画像の取得に成功。光学系と検出素子を冷却する冷凍機運転を最適化しつつあり、夜側撮像の成功率を着実に高めている。
中間赤外カメラ(LIR):
機能確認結果は正常。すでに定常観測に近い連続的な撮像を実施し、過去に報告例のない興味深い現象が見つかっている。
紫外イメージャ(UVI):
機能確認結果は正常。VOI後、現在に至るまで「あかつき」がほとんど夜側上空にいたため、昼側専用のこのカメラはほとんど使用されなかった。昼側が写り始める4月から連続的な観測を始める。
雷・大気光カメラ(LAC):
検出器に加える電圧を段階的に上げていく試験を慎重に進めており、まだ観測を実施していない。
電波掩蔽観測(RS):
超高安定発信器(USO)の周波数安定度が劣化していないことを確認した。3月4日にUSOを用いて1回目の電波掩蔽観測を実施。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

〈関連製品・商品〉