「あかつき」がとらえた金星の温度分布

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【2012年6月11日 金星探査機「あかつき」

太陽の前を通り過ぎる金星の姿を地球から見るのは105年後までおあずけだが、日本の探査機を通して間近から見る日は3、4年後だ。2010年12月に金星探査機「あかつき」がとらえた中間赤外線画像が公開された。


あかつきがとらえた金星の中間赤外線画像

あかつきがとらえた金星の中間赤外線画像。クリックで拡大(提供:Taguchi et al., 2012)

画像は、金星探査機「あかつき」が2010年12月9日にとらえた金星だ。同月7日に予定されていた金星周回軌道入りに失敗した直後だが、金星から60万kmほど離れた位置から中間赤外カメラで金星の夜側ほぼ全面の像を得ることに成功した。これまで地上からの撮像観測や探査機による分光観測の例はいくつかあったが、探査機による中間赤外画像のスナップショットはこれが史上初めてとなった。

温度を見る赤外線像(画像の明暗が温度分布を示す)から、金星のさまざまなことを見てとれる。金星像の中心から周縁にかけて温度が下がって見える、いわゆる「周辺減光」の効果を詳しく解析すると、上層の雲粒子が減少していることが示唆された。

過去の観測と比較してやや高めの温度となっているのは、実際に温度が上昇しているか、あるいは上層の雲が薄くなって温度が高い下層が覗いているものと解釈される。また両半球の高緯度に見られる低温帯状領域(ポーラーカラー)や中低緯度の帯状構造、さらにその中に見られるより小さいスケールの温度構造なども見える。両極には「ポーラーダイポール」と呼ばれる高温域がかすかにとらえられているようだ。

これらはおそらく、日本の惑星探査機による地球以外の惑星に関する初めての科学成果といえる。

現在「あかつき」は金星とほぼ同一の公転軌道上を航行中で、2015年の暮れに目標に接近する軌道をとっている。2010年はメインエンジンの破損で金星周回軌道に入れなかったが、次回のチャンスでは代替エンジンを利用する。

周回軌道に入れば、今回の画像よりも格段に高解像度の画像が連続して得られると期待される。赤外線や紫外線など多波長での連続撮像による金星大気ダイナミクスの理解という目標の実現に向け、「あかつき」プロジェクトチームは日々運用を続けている。

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