地球のような惑星は、やはり太陽型星の周りに存在

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東京工業大学と中国・清華大学の研究チームが行ったシミュレーションによって、惑星の含水量をもとにして考えた場合、地球のような惑星は太陽くらいの質量の恒星に多く存在しそうだということが示された。

【2015年2月18日 東京工業大学

生命が住める惑星(ハビタブル惑星)の探索は、現在、太陽の半分以下の質量のM型矮星に対し集中して行われようとしている。M型矮星では、太陽と同程度の質量のG型矮星にくらべ、ハビタブル惑星を検出しやすいと考えられてきたからだ。しかし、日中の研究者により、地球のような惑星を探すにはM型矮星は適さないというシミュレーション結果が示された。

NASAの衛星Suomi NPPが2012年4月に取得したデータから作成された地球の画像
NASAの衛星Suomi NPP衛星が2012年4月に取得したデータから作成された地球の画像(提供:NASA/NOAA/GSFC/Suomi NPP/VIIRS/Norman Kuring)

東京工業大学の井田茂さんと中国・清華大学のFeng Tianさんは、中心星の質量が太陽のそれぞれ0.3、0.5、1.0倍の場合の惑星分布をシミュレーションし、水の蒸発過程を見積もった。すると、質量や含水量が地球と同じくらいの惑星の数は、G型矮星にくらべてM型矮星の周りでは1/10~1/100しかなかった。

太陽質量の0.3倍の恒星1000個に対する計算では6万9000個の惑星が得られ、うち5000個が地球質量に近く、55個がハビタブル・ゾーンに入っていた。しかし、55個のうち31個は海惑星で、23個は砂漠惑星であり、地球と同じような含水量の惑星はたった1個しか作られなかった。

また、太陽質量の半分の恒星1000個の場合は、7万5000個の惑星が得られ、うち9000個が地球質量に近く、292個がハビタブル・ゾーンに入っていた。そのうち60個は海惑星、220個は砂漠惑星で、地球と同じような含水量の惑星は12個であった。

最後に太陽質量の恒星については、3万8000個の惑星が得られ、うち8000個が地球質量に近く、407個がハビタブル・ゾーンに入っていた。そのうち91個は海惑星、45個は砂漠惑星で、大部分である271個が地球と同じような含水量であった。

個々の詳細な数に意味はないが、シミュレーション結果が示す重要な結論は、地球と同じような含水量を持ちハビタブル・ゾーンにある惑星の割合は、太陽質量の恒星に比べて小質量の恒星の周りでは極めて少ないということである。「地球のような惑星探しをするならば、太陽型星で探すべきだ」ということになる。

なお、地球とは似ていないが、地球の生命とは異なるしくみの生命が住む惑星は、M型矮星の惑星系に存在するかもしれない。今回のシミュレーションから導き出された結論は、そのような可能性を排除するものではないという。

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