スーパーアースの「地下のマグマ海」が地球外生命をはぐくむかも
【2026年1月21日 ロチェスター大学】
質量が地球より大きく、海王星より小さい系外惑星を「スーパーアース」と呼ぶ。スーパーアースは地球と同じく岩石が主成分で、表面は固体だと考えられている。スーパーアースは天の川銀河内で見つかっている最も多いタイプの惑星だが、なぜか私たちの太陽系にはスーパーアースに相当する惑星はない。
スーパーアースはたくさん存在するので、惑星の誕生や進化の過程を理解する上で重要な天体だ。液体の水が存在できる「ハビタブルゾーン」を公転するスーパーアースも多い。研究者はスーパーアースの組成・大気・磁場などを調べることで、惑星系の起源や惑星に生命が住める条件について、手がかりを得ようとしている。
惑星に生命が誕生する上でとくに重要な条件の一つが、惑星の磁場だ。強い磁場があれば、生命にとって危険な宇宙線から惑星の表面が守られ、生命が誕生・持続できる可能性が高くなる。
地球の磁場は、液体の鉄からなる「外核」が流動することで生み出されていて、「ダイナモ機構」と呼ばれている。だが、金星と火星には強い磁場はない。この2つの惑星の核は磁場を生み出す条件を備えていないためだ。同様に、スーパーアースの核も、地球と同じしくみで磁場を生み出すことはできないかもしれない、という説がある。

スーパーアースの「基底マグマオーシャン」の想像図。マントルの深部に溶融した岩石の層ができ、これが流動することで地球磁場よりも強い磁場を生み出す(提供:University of Rochester Laboratory for Laser Energetics illustration / Michael Franchot)
米・ロチェスター大学の中島美紀さんを中心とする研究チームは、スーパーアースが強い磁場を持つ条件を探った。着目したのは、誕生直後の惑星に大量の天体が衝突して表面全体が融けたマグマで覆われる、「マグマオーシャン」という状態だ。
現在の理論では、マグマオーシャンが冷えて結晶化が進むと、マグマの一部は鉄の比率が増えて重くなり、マントルと核の境界まで沈んでいって、鉄に富んだ「基底マグマオーシャン」という層を作ると考えられている。
スーパーアースの場合、地球よりも大きく、内部の圧力もはるかに高いため、スーパーアースの基底マグマオーシャンは地球のものより長い期間存在した可能性がある。
中島さんたちは、スーパーアースの基底マグマオーシャンを想定した物質として「フェロペリクレース」((Mg,Fe)O)という鉱物を使い、これにレーザー光を照射してスーパーアース内部の超高圧環境を再現するレーザー衝撃実験を行った。さらに、この実験データと分子動力学シミュレーション、惑星進化モデルを組み合わせて、スーパーアースの基底マグマオーシャンの性質を探った。
解析の結果、スーパーアースのマントル深部のような超高圧力のもとでは、基底マグマオーシャンのマグマは電気を通す「導体」になることがわかった。その電気伝導度は、数十億年にわたって強力な磁場を発生させるのに十分なほどだという。
中島さんたちの結果によれば、質量が地球の3~6倍のスーパーアースであれば、基底マグマオーシャンの溶融岩石が流動することでダイナモ効果が生じて、地球磁場よりも強力で、より長く持続する磁場を生み出せることが示唆される。もしスーパーアースにこうした強い磁場が存在するなら、生命が住める環境が天の川銀河全体に存在しうるかもしれない。
「この研究は挑戦的でわくわくするものでした。私の主なバックグラウンドは計算科学で、実験研究はこれが初めてでした。こうした分野横断的な研究に導いてくれた様々な分野の研究仲間が手助けしてくれたことに深く感謝しています。今後、系外惑星の磁場観測によって、私たちの仮説を検証される日が来るのが待ち遠しいです」(中島さん)。
〈参照〉
- University of Rochester:Hidden magma oceans could shield rocky exoplanets from harmful radiation
- Nature Astronomy:Electrical conductivities of (Mg,Fe)O at extreme pressures and implications for planetary magma oceans 論文
〈関連リンク〉
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