冥王星に高さ数kmの氷火山らしい2つの山

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探査機「ニューホライズンズ」の冥王星フライバイから4か月が過ぎた。当時観測されたデータは現在次々に送られてきており、巨大な氷火山と思われる地形が見つかったり、小さい衛星の奇妙な振る舞いが明らかにされたりしている。

【2015年11月12日 New Horizons

「ニューホライズンズ」による冥王星の観測データから新たに、幅数十km、高さ数kmという巨大な山が2つ見つかった。どちらも氷火山とみられている。おそらく地質学的な意味で最近まで活動していたと考えられ、火口からは水の氷や窒素、アンモニア、メタンなどの混合物が噴出すると推測されている。

氷の火山と思われる山の1つ、ライト山(非公式名)
氷の火山と思われる山の1つ、ライト山(非公式名)(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute、以下同))

「氷火山というのはまだ仮説に過ぎませんが、もし本当にそうなら、頂上にあるくぼみは地下から噴出した物質が崩れてできたもののはずです。一風変わった山の側面にある輪状地形は、ある種の火山流によるものかもしれませんが、なぜ輪状なのか、一体どんな物質で構成されているのかは不明です」(研究チーム Oliver Whiteさん)。

氷火山と思われる山の立体画像
氷火山と思われる山の立体画像(名称は非公式)


驚くべき発見は他にもある。冥王星の地質学的な年代が、古いものから中期、比較的若いものと広範囲に及んでいることだ。天体の表面の年代決定に用いられるクレーター計数から、冥王星には約40億年前という、太陽系の惑星形成直後にまでさかのぼる古い表面の存在が示されている。その一方で、全くクレーターの見られない広大な領域「スプートニク平原」(非公式名)は過去1000万年以内に形成されたと考えられている。

1000個以上のクレーター(黄色)の位置を示した図
1000個以上のクレーター(黄色)の位置を示した図。両サイドの赤紫色っぽい領域は地図未作成領域

さらに、最新のクレーター計数データによって、冥王星上に中期に当たる年代の地形も発見された。冥王星は40億年以上の長い歴史を通じて、地質学的に活発だったということだ。

クレーター計数は、カイパーベルトそのものの構造にも洞察を与えてくれる。冥王星と衛星カロンに小さなクレーターが少なすぎることから、モデルの予測よりも小さな天体が少ないと考えられるのだが、そうすると幅1km程度の小天体が集まってカイパーベルト天体が形成されたとする長年のモデルに疑問が生じる。幅数十kmのカイパーベルト天体は直接形成された、というモデルが支持されることになる。

多くのカイパーベルト天体が現在の大きさで誕生したのかもしれないというのは、研究者にとっては実にエキサイティングだ。ニューホライズンズの次のターゲットである、幅40~50kmのカイパーベルト天体「2014 MU69」の探査によって、ひょっとすると太陽系を形成する元となった原初の天体の姿が初めて見える可能性もある。


ニューホライズンズ・ミッションは、魅力的な冥王星の衛星とその変わった特徴にも光を当てている。たとえば、月を含め太陽系内のほぼすべての衛星は自転と公転が同期しているが、カロンを除いた冥王星の4つの小衛星は自転のほうがはるかに速いことがわかった。最も外側の衛星ヒドラは、冥王星の周りを一公転する間に89回自転する。また、カロンの影響で小衛星の自転速度が変化するとも考えられている。

さらに、4衛星のうちいくつかが、2つ以上の天体の合体から生まれたこともデータから示唆されている。「冥王星は過去にもっと多くの衛星を従えていたのではないかと思われます。大きな衝突の結果、カロンが作られたのでしょう」(SETI研究所 Mark Showalterさん)。

新データからは、冥王星の上層大気が著しく冷たくコンパクトで、冥王星の大気が宇宙空間へ逃げ出す割合は従来の説より3桁以上も低いこともわかった。冥王星からの大気散逸プロセスは彗星に似ていると考えられてきたが、地球や火星で起こっているメカニズムと同じであるようだ。

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