ニューホライズンズ、いよいよ明日冥王星に最接近

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冥王星最接近を明日14日の夜9時前(日本時間)に控えた探査機「ニューホライズンズ」からは連日、冥王星や衛星カロンの画像が送り届けられてくる。先週末から今日にかけて公開された画像には、暗明の領域が従来以上に鮮明に写っているほか、複雑な帯状領域、多角形状の模様、クレーターや崖と思われる地形などもとらえられている。

【2015年7月13日 NASA (1)(2)(3)(4)

11日から13日にかけて公開された、探査機「ニューホライズンズ」から送られてきた冥王星や衛星カロンの最新画像を紹介しよう。

1枚目は9日に望遠撮像装置「LORRI」を使って540万kmの距離から撮影された画像だ。1ピクセルあたり約27kmの解像度で、これまでの画像にも見えていた明暗の領域がいっそう鮮明にとらえられている。

7月9日撮影の冥王星
7月9日に撮影された冥王星(提供:NASA/JHUAPL/SWRI、以下同)

赤道付近に横たわる「くじら」と呼ばれている巨大な黒い領域の左端(西端)、くじらの尾に当たるところには、複雑な地形が存在している。また、尾のすぐ上(北)から赤道に沿うようにして、バーコードのような細かいパターンが広がる帯状の領域が約1000kmにわたって続いている。尾の北には、多角形状の地形も見えている。冥王星の地質学に迫れる距離にまで近づいてきたことで、研究者たちはますます興味をそそられている。

「飛行に9年半かかりましたが、冥王星は、それだけの価値のある天体です」(Alan Sternさん)。


2枚目は11日に距離400万kmからとらえた冥王星の、衛星カロン側の表情だ。冥王星とカロンは常に同じ面を向けあっているので(冥王星の自転、カロンの自転と公転が、すべて約6.4日で一致している)、カロンから見た冥王星はいつでもこの面である。冥王星最接近時、ニューホライズンズは冥王星の1万2500km上空を猛スピードで通過するが、探査機が観測するのはこの画像の裏側にある巨大なハート型の領域付近(参照:アストロアーツニュース「冥王星の表面にクジラ、ドーナツ、ハート模様」)なので、カロン側は探査機からは見えない。研究者たちは「カロン側の画像としては最後となる、ベストのもの」と表現している。

7月11日撮影の冥王星(1)
7月11日に撮影された冥王星(1)

赤道領域に見えている多角形状の地形や、いずれも500kmほどの大きさを持つ4つの黒い領域が興味深い。「黒い領域がほぼ等間隔に並んでいるのが不思議です」(Curt Nieburさん)。「高原なのか平原なのかもわかりませんが、取得済みの色のデータなどが送られてくれば、さらに詳しいことがわかるはずです」(Jeff Mooreさん)。


3枚目も11日に撮影された画像で、暗い領域だけでなく崖かもしれない直線状の模様やクレーターとみられる円形模様が写しだされている。最接近時に観測されるハート模様や「くじら」の領域は、この画像では冥王星の左裏に隠れている。

7月11日撮影の冥王星(2)
7月11日に撮影された冥王星(2)


4枚目は衛星カロンの画像だ。300km以上にわたって北極領域が暗くなっていることや、冥王星と同様にクレーターらしきものがあることがわかる。また、裂け目のような模様もとらえられている。

7月11日撮影のカロン
7月11日に撮影されたカロン


ニューホライズンズのウェブページではカウントダウンクロックが表示されており、最接近時刻(日本時間14日午後8時49分57秒)までの残り時間や冥王星からの距離がひとめでわかる。

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