20分間で大きく変化 2013年ラヴジョイ彗星の尾

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2013年末に明るくなったラヴジョイ彗星(C/2013 R1)の尾の素早い変化を、すばる望遠鏡がとらえた。尾の中でイオンの塊が移動するようすも観測されており、彗星の尾で起こる物理的メカニズムの解明につながると期待される。

【2015年3月5日 国立天文台

昨年末から今年2月までラヴジョイ彗星(C/2014 Q2)が見ごろとなっていたが、2013年末に明るくなった別のラヴジョイ彗星(C/2013 R1)も、アイソン彗星(C/2012 S1)が見られず落胆していた天文ファンを救ってくれた彗星として記憶に新しい。

このラヴジョイ彗星をすばる望遠鏡で詳しく観測していた国立天文台の八木雅文さんらは、彗星のイオンの尾の構造が20分ほどの間に大きく変化していたことをつきとめた(1枚目の画像)。ラヴジョイ彗星ほど明るい彗星は1年に1つ出現するかしないかなので、短時間での尾の変化のようすは貴重な観測例だ。

ラヴジョイ彗星のイオンの尾の変化
2013年12月4日にすばる望遠鏡が撮影したラヴジョイ彗星(C/2013 R1)のイオンの尾。彗星核から80万kmほどの範囲を繰り返し観測して時間変化を追った。時刻表示はハワイ現地時間(提供:国立天文台。以下同)

さらに、イオンの尾の中で、核から30万kmほどの位置に塊が生まれ流れていくようすも見つかった。これは彗星核の近くにあったイオンの塊が太陽風による最初のひと押しで動き始めているところをとらえたものだが、その移動速度は秒速20~25kmで、他の彗星での観測例に比べて半分程度のスピードだ。イオンの塊がどのように作られるのか、どのように初速度が決まるのかなど、イオンの尾の中で起こる物理的メカニズムはまだはっきりわかっておらず、今後の観測の積み重ねによる解明が期待される。

イオンの塊が移動するようす
イオンの尾の中(左画像の水色枠)で塊が移動するようす