史上9例目、木星表面の衝突閃光をとらえた

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10月15日、木星の表面で小天体の衝突によるものと推定される閃光現象が観測された。謎の多い閃光現象の詳細な特性や、閃光を引き起こす小天体の素性に迫るためにも、当日の閃光現象を観測撮影したデータを広く募集中だ。

【2021年10月29日 星ナビ編集部

報告:有松 亘さん(京都大学 OASES project

2021年10月15日22時24分(日本時間)に、木星表面で小天体の衝突によるものと推定される閃光現象が発生し、少なくとも国内3地点からの観測に成功した。地上から木星表面の閃光が観測されたのは史上9例目であり、国内で観測されたのは2010年8月以来2例目となる。

これまでの発見例はいずれもアマチュア天文家による偶然の発見であったが、今回の閃光現象は京都大学吉田キャンパス(京都市左京区)で実施中の、閃光検出に特化して筆者が開発した観測システム“PONCOTS”(Planetary ObservatioN Camera for Optical Transient Surveys)を用いて発見することに成功した。閃光検出に特化したモニタ観測によって実際に閃光が観測されたのは史上初である。

メタンバンドによる衝突閃光
PONCOTSを用いて2色(波長505~650nm可視バンドおよび波長889nmメタンバンド)で同時撮像された、木星表面の衝突閃光の擬似カラー画像(提供:有松さん)

衝突閃光動画
PONCOTSのメタンバンドで観測された閃光の動画(7秒間)。メタンバンドで閃光が観測されたのも史上初(提供:有松さん)

PONCOTSを用いた観測では、いまだ謎の多い閃光現象の詳細な特性や、閃光を引き起こす小天体の素性に迫る極めて重要なデータを得ることに成功している(詳しくは星ナビ2022年1月号にて紹介予定)。なお、衝突閃光発生からおよそ28時間後、NASAの木星探査機「ジュノー」が閃光発生地点を撮影しているが、現時点で衝突痕などは確認されていない。

ジュノーによる画像
木星探査機ジュノーに搭載されたカメラ「JunoCam」によって、閃光発生後およそ28時間後に撮影された発生地点(点線で囲まれた領域)。衝突痕らしき跡は見られない(提供:NASA/SwRI/MSSS/Tanya Oleksuik を一部改変)

木星閃光観測では多地点での観測が成立することで、閃光が木星表面で発生していることを確認できるだけでなく、閃光の輝度などに関するより強い観測的制約が得られることが期待される。閃光発生から約2時間後、筆者が管理しているOASESプロジェクトTwitterアカウントから情報提供を呼びかけた結果、現在までに京都大学以外で国内2か所からのアマチュア天文家による同時観測報告が寄せられている。これらの観測報告によって、今回観測された閃光現象が木星表面で発生した現象であることが確定した。

閃光の詳細な特性の把握には、より多くの観測報告を集めることが重要になる。当日の閃光発生時刻にCMOSカメラなどで動画観測をされていた方は今一度ご自身の撮影データを確認いただき、筆者のTwitterアカウント @OASES_miyakoもしくはメール:arimatsu.ko.6x@kyoto-u.ac.jp まで連絡をいただければ幸いである。

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