太陽系第9惑星は他の星から盗まれた惑星かもしれない

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太陽系の「第9惑星」に関するコンピュータシミュレーションによる研究から、この天体が元々は他の恒星の周りを回っていた系外惑星だったかもしれないという説が発表された。

【2016年6月2日 Royal Astronomical Society

太陽系の果てのまだ見ぬ「第9惑星」の存在はしばしば話題に上るものの、今のところ、第9惑星と思われるものが観測でとらえられたことはない。もし存在するならおそらく地球の10倍程度の質量だろうということ以外はまったく何もわかっておらず、元々はどこから来たのかも不明だ。

スウェーデン・ルンド大学のAlexander Mustillさんたちの研究チームのシミュレーションによれば、太陽系の第9惑星は約45億前、まだ若かった太陽が他の恒星の周りを回っていた惑星を盗み取ったものだという。

系外惑星が太陽にとらえられて第9番惑星となる概念図
系外惑星が太陽にとらえられて第9番惑星となる概念図(提供:Lund University)

恒星は星団内で生まれた後、互いに頻繁にすれ違う。そうした恒星同士の出会いの際に、ある恒星の周りを回っていた惑星が別の恒星の重力圏内に取り込まれて軌道が変わってしまうことが起こり得るのだ。今回の研究結果は、太陽系でこの出来事が起こった可能性を示唆している。

「第9惑星は、他の惑星から押しのけられて主星から大きく離れたところを回る公転軌道を動くようになり、あるとき太陽系に遭遇して、太陽の重力によって太陽系内に取り込まれたのかもしれません。その後、太陽が生まれ故郷の星団から離れる際、第9惑星は太陽から離れられなかったのでしょう」とMustillさんさんは語る。「数百光年も先にある系外惑星を探し求めて日々観測が行われていますが、もし本当に外からやってきた惑星が太陽系内に隠れているとしたら、なんとも皮肉なことだとしか言いようがありません」。

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