太陽観測衛星「ひので」が遭遇した金環日食

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10月24日、太陽と月と太陽観測衛星「ひので」とが軌道上で一直線上に並び、「ひので」から金環日食が見られた。その際に「ひので」が撮影した、金環日食のX線太陽画像と動画が公開された。

【2014年10月29日 JAXA

太陽観測衛星「ひので」が日本時間10月24日朝、北米上空高度680kmで月による影の中(金環日食が見られる擬本影、直径187km)に入り、金環日食を観測した。この金環日食を見ることができたのは衛星軌道上のみで、地上では北米地域(米国、カナダ)等で部分日食が観測された。

公開された画像は、「ひので」に搭載されているX線望遠鏡(XRT)が撮影したものだ。西(画像の右側)から現われた新月状態の黒い月が太陽面を横切り、X線で輝く太陽コロナを背景に通過していくようすがとらえられている。リリースページでは、動画も見ることができる。

部分食開始から2分後:日本時間6時48分
部分食開始から2分後:日本時間6時48分(提供:JAXA/国立天文台。以下同)

金環日食の最大食:日本時間6時53分
金環日食の最大食:日本時間6時53分

部分食終了2分前:日本時間6時58分
部分食終了2分前:日本時間6時58分

「ひので」は2006年9月23日の打ち上げから8年を迎えているが、これまでに軌道上で皆既日食1回(2007年3月19日)と金環日食2回(2011年1月4日と今回)に遭遇している。

今回の日食時には、「ひので」に搭載されている極端紫外線撮像分光装置(EIS)を用いて、太陽の極域にあるコロナホールと呼ばれる暗い領域の観測も行われた。月が太陽面を隠す日食は、望遠鏡の較正のためのデータ(観測データから散乱光の影響を取り除くためのデータ)を高精度に取得することができ、散乱光の影響を受けやすいコロナホールの物理状態を把握するうえで貴重な機会となった。

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