天文の基礎知識

6. 太陽

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太陽 私たちに最も近い恒星、それは太陽です。太陽から地球に届けられるエネルギーは私たちの生活に豊かな恵みを与えてくれています。ステラナビゲータ においても太陽は重要な表示物です。

夕焼け・朝焼け

昼間、太陽が出ていると、その明るい光に遮られて他の恒星を見ることはできません。太陽の明るさが-27等級と、とてつもなく明るいためです。しかし、そんな強い光の中でも、地球の衛星である月や、最も明るくなる惑星である金星はかろうじて肉眼で見ることができます。

さて、正午ころに最も高く昇った太陽は徐々に高度を下げ、夕方には真っ赤な光の塊となって西の地平線に沈んでいきます。太陽の傾きとともに青空が徐々に暗くなり、西の空が真っ赤に色づきます。夕焼けですね。良く見ると夕焼けの赤味は西の空だけでなく、地平線に沿って東の空まで続いています。

これは太陽の光が、厚い地上大気の層を通過するときに、チリや水蒸気に阻まれて、波長の短い青い光が吸収され、波長の長い赤い光だけが私たちのもとに届くために起きる現象です。

ステラナビゲータ ではこの夕焼けをできる限りリアルに表現しました。沈み行く太陽は徐々に光度を失い赤味を増していきます。また、地平線の近くでは大気の影響で太陽がつぶれて楕円形に見えるようすも再現しています。

薄明

太陽が沈んでからもしばらくの間は、空に明るさが残っています。これが薄明です。薄明は地平線下の太陽からの光が大気中のチリや水蒸気によって散乱されるために起きる現象です。一般には薄明と一言で片づけられてしまいますが、太陽高度-6゚までを市民薄明といいます。さらに太陽高度-12゚までを航海薄明、-18゚までを天文薄明と呼んで区別しています。

市民薄明の時間には、まだ十分に明るさが残っています。航海薄明の時間には、空には星がかなりの数瞬きはじめますが、海面と空との境が見分けられる程度の明るさを保っています。天文薄明の時間には、太陽からの光は完全になくなり、肉眼で見える最も暗い6等星が夜空で見分けられるようになります。

ステラナビゲータ の薄明もこれに準拠しています。太陽高度が地平線下18゚になった時に薄明が終了するようになっています。

太陽黒点

太陽の構造 太陽はその直径が地球の109倍もある大きな天体です。それが、わずか1億5千万キロメートルのところにあるのですから、見かけの直径は30'にもなります。宇宙広しと言えど、地球からこんなに大きく見ることのできる恒星はほかにありません。表面の模様を観察できる恒星は太陽しかないのです。

黒点 太陽表面を望遠鏡で見て(決して太陽を直視してはいけません。太陽観測用のフィルタなしに太陽に望遠鏡や双眼鏡を向けると、失明する危険があります)誰もが最初に気づくのは、やはり黒点でしょう。太陽の表面(光球)の温度は約6,000Kですが、黒点の温度は約 4,500Kとやや低くなっています。

太陽は約27.275日の周期で自転しています(緯度によって自転周期が異なります)。ですから黒点も太陽面上を13日から14日かけて移動していきます。黒点の平均寿命は約6日ほどですが、肉眼でも見えるような大きな黒点の場合、数カ月にわたって存在するものもあります。

ステラナビゲータ では、残念ながら黒点を表示することはできず、太陽はただの白い丸とその周りに広がる光芒として表示されます。

日食

日食 太陽の前を月が横切ると、太陽が月によって隠されます。これが日食です。日食には大きく3つの種類があります。見かけ上、太陽が月より大きい時には完全に隠れず太陽の周辺部が月の周りからはみだしてリング状に見えます。これを金環日食と言います。

コロナ 逆に、月の方が太陽より大きく見えるときには、太陽は完全に月の蔭に隠されてしまいます。これが皆既日食です。皆既日食の時には、普段見ることのできない、プロミネンスやコロナ、ダイヤモンドリングを見ることができます。

皆既日食 皆既日食や金環日食は、そう広い範囲で見えるものではありません。地球上に投影された月の影の中心付近でのみ見ることができます。皆既日食ツアーや金環日食ツアーなどで海外へ観測に行くのはこのためです。月の影の中心は時間とともに地球上を移動して行きますから、結果として細長い帯状の地点から見ることができます。これを皆既(金環)日食帯と言います。


さて、この帯の外側の地域では皆既日食も金環日食も見ることはできません。しかし、何も起こらないわけではなく、太陽の一部が月によって隠される様子を見ることができます。これを部分日食と言います。部分日食の欠け具合(食分といいます)は、皆既(金環)日食帯に近ければ近いほど大きく、離れるにしたがって小さくなります。

皆既日食は、VTRや写真では伝えることのできないほど美しいものです。コンピュータでは残念ながら本物のもつ素晴らしさは表現できません。是非、一度本物を見てください。

ステラナビゲータ での日食は、ダイヤモンドリング、コロナを表示することができますが、これは表示のタイミングを計算によって求めているだけで、実際のダイヤモンドリングやコロナの位置や形をシミュレートしているものではありません。