予想以上に早かった、銀河団形成の始まり

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アルマ望遠鏡などによる観測で、120億年以上前の初期宇宙に10個ほどの銀河が密集している原始銀河団が発見された。予想以上に早い時期から銀河団の形成が始まっていたことを示唆する観測結果である。

【2018年5月7日 アルマ望遠鏡ヨーロッパ南天天文台

2つの研究チームがアルマ望遠鏡などを使って、別々の原始銀河団を観測した。これらの原始銀河団は複数の銀河が非常に密集して存在している領域であり、それぞれの集団内で銀河同士が衝突・合体することによって巨大な銀河団の中心核が形成されると考えられる。

カナダ・ダルハウジー大学および米・イェール大学のTim Millerさんたちの研究チームは、約124億年前(宇宙誕生から14億年後)の初期宇宙に存在する、ほうおう座方向に位置する原始銀河団「SPT2349-56」を観測した。

SPT2349-56はもともと、アメリカが運用する南極点望遠鏡(South Pole Telescope; SPT)の電波観測で発見された天体で、ヨーロッパ宇宙機関の電波望遠鏡「APEX」により遠方に存在することが確かめられた。さらに今回、高い解像度を持つアルマ望遠鏡で詳細に観測することにより、この天体が14個の銀河からなる原始銀河団であることが明らかになった。SPT2349-56を構成する個々の銀河は天の川銀河の25%ほどの大きさしかないが、それぞれでは1年間に1000個もの星が形成されているとみられている。

SPT2349-56
原始銀河団「SPT2349-56」。(左から)SPT、APEX、アルマ望遠鏡の画像(提供:ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Miller et al.)

原始銀河団SPT2349-56は、理論研究やコンピューターシミュレーションの予測どおりの質量を持っているが、理論予測よりもずっと早い時期に誕生している。「この原始銀河団がどうしてこれほど早くこんなに巨大に成長できたのかは謎です。天文学者は、10億年以上かけて小さい天体がゆっくり集まっていくと考えていたからです。今回の発見は、巨大銀河団とそこに含まれる大きな銀河がどのようにして誕生したのかを探るための絶好の機会を与えてくれたといえるでしょう」(Millerさん)。

SPT2349-56の想像図
SPT2349-56の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

また、英・エジンバラ大学のIván Oteoさんたちの研究チームはアルマ望遠鏡とAPEXとの観測から、約123億年前の初期宇宙に存在する、ちょうこくしつ座方向に位置する10個の銀河からなる原始銀河団を発見した。これらの銀河には塵が多く、SPT2349-56の銀河と同様に活発な星形成活動が見られる。

「塵の多いスターバースト銀河は激しくガスを消費するため、寿命が比較的短いと考えられています。宇宙の歴史のいつの時代、どの場所においても、通常はスターバースト銀河は少数派なのです。ですから、今回のように同時に多くのスターバースト銀河が発見されたことには、とても困惑しています。その存在の背景には、まだ私たちが知らない何かがあります」(Oteoさん)。