生命がいなくても酸素が豊富な地球型惑星は存在しうる

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太陽系外の惑星に酸素が検出されれば、そこに生命がいると期待される。しかし、酸化チタンの反応で酸素が発生すれば、生命がいなくても豊富な酸素大気を持つ地球型惑星が存在しうることが理論的に明らかにされた。

【2015年9月11日 アストロバイオロジーセンター

宇宙における生命探し(宇宙生物学、アストロバイオロジー)は、天文学だけでなく幅広い科学全般において現在非常に注目されている研究分野である。これまでのところ太陽系内では地球以外に確たる生命活動は知られていないが、太陽系外にはすでに約2000個もの系外惑星が発見されており、その中には組成や温度環境が地球に似たものも見つかってきているので、生命の発見も期待されるところだ。

地球の1.6倍の系外惑星「ケプラー452」とその周りを回るケプラー452bの想像図
太陽に似た恒星「ケプラー452」の周りを回る地球サイズの系外惑星「ケプラー452b」の想像図(参照:アストロアーツニュース「太陽と同タイプの恒星のハビタブルゾーンに地球サイズの系外惑星」)(提供:NASA/Ames/JPL-Caltech)

こうした太陽系外惑星に生命活動があるかどうかを推測する方法の一つに、酸素の存在を調べるというものがある。惑星の大気に酸素が検出されれば、それを生み出す生命が必ずいるはずだという考えから、酸素をバイオマーカー(生命活動の目印)として生命探査を行うのだ。しかし、非生物的な化学反応でも酸素は発生するので、その影響も見積もる必要がある。

アストロバイオロジーセンターの成田憲保さんと分子科学研究所の正岡重行さんらの共同研究グループは、太陽系の地球型惑星や衛星などにも豊富に存在している酸化チタンの光触媒反応によって非生物的に酸素が発生することに着目した研究を行った。

酸化チタンの光触媒反応
酸化チタンの光触媒反応。水、酸化チタン、電子受容体、紫外線の4つがそろうと、非生物学的に酸素が発生する(提供:自然科学研究機構)

地球に類似した環境の惑星を仮定した場合、惑星表層の0.05%程度(地球でいえば北海道の面積以下)で酸化チタンの光触媒反応が継続すると、現在の地球と同程度の酸素大気が発生・維持されることが推定できた。また、主星(太陽)の質量や温度を変えた計算からは、光触媒反応が最も起こりにくい低温度星の場合でも惑星表層の約3%で酸化チタンの光触媒反応が起これば、非生物的に酸素大気が発生・維持されると推定された。

つまり、光合成を行う生物が存在しなくても、太陽系外の生命居住可能惑星に地球と同程度の酸素大気が発生してしまう可能性が十分にあることが明らかになったのである。

「酸素大気があれば必ず生命がいるというわけではないことがわかり、新たなバイオマーカーも検討していく必要がでてきました。何が生命存在の決定的証拠となるのか、様々な学問分野の知見を取り入れたアストロバイオロジー研究の取り組みが重要です。また、本研究とは独立に、系外惑星の環境でも光合成生物による酸素発生型光合成が可能なのかどうかについてや、先に非生物的に発生した酸素を保持する星で生命が後から誕生することが可能なのかどうかについても、今後明らかにしていかなければなりません」(成田さん)。

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