従来より「大きくなった」冥王星

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探査機「ニューホライズンズ」は、いよいよ日本時間の14日20時49分57秒に冥王星に最接近する。時速4万9600kmもの猛スピードで冥王星をフライバイしながら、7つの機器で観測を行う。通信に約4時間半かかるなどの理由により、第一報が届くのは15日午前中の予定である。一方、これまでの観測データから、冥王星の大きさが明らかになった。

【2015年7月14日 NASA (1)(2)

探査機「ニューホライズンズ」の望遠撮像装置「LORRI」による観測データから、もっとも基本的な謎であった冥王星の大きさが明らかにされた。その直径は2370kmで、従来の推定値よりやや大きい数値となっている。

冥王星と衛星カロン
冥王星と衛星カロン。望遠撮像装置「LORRI」による白黒の観測データに可視光・赤外線撮像装置「Ralph」によるカラーデータを合成して作成。2つの天体の明るさや色の違いがはっきりとわかる(提供:NASA/JHUAPL/SWRI、以下同)

「結果は推測通りでした。冥王星は、太陽系内でこれまでに知られている海王星以遠の天体の中で一番大きいことがわかりました。1930年の発見以来、その大きさについて論議が続いていましたが、やっと終止符を打つことができました」(米・ワシントン大学のBill McKinnonさん)。

冥王星が少し「大きくなった」ことで、従来の想定よりも密度は少し低くなり、内部の氷の割合は高くなる。冥王星の大きさが数十年間も謎であった理由は、大気という複雑な要素のためだ。一方で最大の衛星カロンには大気が無いため、地上の望遠鏡からでも簡単に直径がわかる。ニューホライズンズの観測により、これまでの値(直径1208km)が再確認された。

地球、冥王星、カロンの大きさの比較
地球、冥王星、カロンの大きさの比較。冥王星は地球の18.5%、カロンは9.5%

LORRIは冥王星の小さな衛星ニクスとヒドラにも焦点を合わせた。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって2005年に発見されたニクスとヒドラは、HSTの能力を持ってしても小さな光点にしか見えないため、ニューホライズンズが冥王星最接近を迎える最終週に行われる観測が待たれていたのだ。ニクスの大きさは約35km、ヒドラは約45kmで、表面が非常に明るく氷が存在しているかもしれないという。また、さらに小さい衛星ケルベロスとステュクスの大きさについては、今後送信されてくるデータが待たれるところだ。

昨日のニュース「ニューホライズンズ、いよいよ明日冥王星に最接近」でも紹介したカロンについては、さらに新しい画像が公開されている。広く深い谷のような地形が明らかになっており、これはグランド・キャニオン(平均の深さが約1200m、長さ446km、幅6~29km)よりも大きいようだ。周囲に明るい物質が飛び散ったように見える衝突クレーターと思われる地形や、北極領域の暗く不思議な模様も見えている。

カロン
7月12日に250万kmから撮影されたカロン


NASAでは、ニューホライズンズのライブ・コンピュータ・シミュレーション「Eyes on Pluto」(英語のみ)をウェブ上で公開している。

「Eyes on Pluto」
「Eyes on Pluto」のトップページ画像(冥王星とその背景にある衛星カロンに最接近するニューホライズンズの想像図)

LIVEモードを選ぶと、冥王星までの距離やニューホライズンズの速度、最接近までの時間などがリアルタイムで変化する様子が見られるほか、探査機がどの搭載機器を使用してどの天体を観測しているかわかる。探査機に搭乗しているかのような「RIDE-ALONG」、冥王星系の全体像(軌道と天体の位置)がわかる「OVERVIEW」なども選べる仕組みになっている。

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