ガンマ線バーストが起こりそうで起こらない超新星

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超新星爆発には、宇宙最大規模の爆発現象であるガンマ線バーストが発生するものとしないものがある。両者の中間にあたる天体は長い間推測されてきたものの未発見のままであったが、2012年に見つかった超新星がこの天体に相当するのかもしれない。

【2015年5月8日 NRAO

2012年2月にオリオン座の銀河NGC 1729に出現した超新星2012ap(SN 2012ap)は、重力崩壊型(核崩壊型)超新星の一種である「Ic型超新星」だ。SN 2012apはガンマ線バースト(GRB)の発生につながると思われる多くの特徴を持っていたのだが、これまでそのようなバーストを起こしていない。どうやら、GRBが発生するものとそうでないものとの間のギャップを埋める天体のようだ。

超新星2012apと母銀河NGC 1729
(左)超新星出現前の銀河NGC 1729(右)印の箇所に出現した超新星2012ap。米・MDM天文台2.4mヒルトナー望遠鏡で撮影(提供:D. Milisavljevic et al.)

重力崩壊型の超新星爆発では、中心核は中性子星やブラックホールとなり、それ以外の物質は宇宙空間にばらまかれる。一般的な場合、ばらまかれる物質はほぼ球対称に広がるが、その速度は遅く、GRBは見られない。

しかし低確率ながら、中性子星やブラックホールを取り巻く降着円盤に物質が落ち込むことがあり、この場合には降着円盤の両極から超高速のジェットが放出される。GRBが発生する超新星爆発ではこの超高速ジェットと思われるガスの運動が見られることや、ガスの速度が日数の経過に伴って減速していくという特徴が知られていた。

GRB生成の概念図
概念図。(左)普通の重力崩壊型超新星、(中)SN 2012apのような中間型超新星、(右)降着円盤と光速に近い両極ジェットにより、GRBが生成される(提供:Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF)

SN 2012apの場合も超高速ジェットが見られ、しかも日が経つにつれてジェットが減速していくという特徴もとらえられた。にもかかわらず、SN 2012apからはGRBが見られていない。超新星の多様性を示す結果で、研究グループでは、ジェット中の粒子の重さがGRB発生の有無を分ける要因の一つである可能性を指摘している。