地球とよく似たサイズと温度の系外惑星、見落としからの発見

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運用を終了したNASAの探査衛星「ケプラー」の観測データを見直したところ、これまでケプラーが発見したどの系外惑星よりもサイズと温度が地球に近くハビタブルゾーンに位置する天体が新たに見つかった。

【2020年4月22日 NASA JPL

米・テキサス大学オースティン校のAndrew Vanderburgさんたちの研究チームが、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」(2018年10月に運用終了)が取得したデータの見直しを行い、はくちょう座の方向約300光年離れた恒星の周りに地球サイズの系外惑星「Kepler-1649 c」を発見した。

Kepler-1649 cの直径は地球の1.06倍で、地球に非常に近い。公転周期は19.5日で中心星Kepler-1649のすぐ近くを回っているが、この恒星は太陽よりはるかに暗い「赤色矮星」というタイプであるため、Kepler-1649 cが星から受ける光量は地球に届く日光の75%と穏やかだ。そのため、表面温度も地球と似ている可能性があり、天体の表面で水が液体として存在しうる「ハビタブルゾーン」の距離範囲に位置する惑星とみられる。

系外惑星「Kepler-1649 c」の想像図
系外惑星「Kepler-1649 c」の想像図(提供:NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter、以下同)

ただし、一般に赤色矮星では表面の激しい爆発現象である「フレア」が起こる。そのため、この惑星の環境は生命に適したものであるとは言いがたいようだ。また、惑星の気温を大きく左右する大気については何もわかっておらず、サイズの推定に関しても大きな誤差が残っている。

それでもKepler-1649 cが興味深いのは、大きさと温度の両方がここまで地球に近いと推定される系外惑星が過去に見つかっていないからだ。また、この惑星が回る赤色矮星は、天の川銀河の中で一番数が多いタイプの恒星である。今回のように赤色矮星の周りでハビタブルゾーンの軌道を持つ岩石惑星の発見が重なれば、その中に第二の地球が存在する可能性も増えてくる。

地球とKepler-1649 cの比較
地球(左)とKepler-1649 c(右、想像図)の比較

これだけ興味深い系外惑星が見逃されていたのはなぜだろうか。

ケプラーは「トランジット法」という、地球から見て恒星の前を惑星が横切ることで星が一時的に暗くなる現象を観測する手法で系外惑星を探した。ただし、恒星の減光は様々な理由で起こるため、ケプラーがとらえた膨大な数の減光記録から本物の惑星が引き起こしたものを自動的により分けるアルゴリズムが用いられている。ここで惑星以外が原因と推定された減光には「偽陽性」の判定が下されていた。

しかし、恒星の光度変化には紛らわしいものも多く、アルゴリズムには限界があることがわかっていた。そこでVanderburgさんたちは偽陽性のデータを徹底的に調べ、見落とされた可能性がある系外惑星を探してきた。その結果、Kepler-1649 cによる減光がアルゴリズムに弾かれてしまっていたことが判明したのだ。

ところで、Kepler-1649 cの存在が確認される以前から、中心の赤色矮星にはもう1つ惑星が存在することが知られていた。この惑星Kepler-1649 bもまた地球のような岩石惑星だと推測されるが、恒星からの距離は約750万kmと、Kepler-1649 cのさらに半分しかない。

興味深いことに、2つの惑星の公転周期には9:4という関係がある。これは外側のKepler-1649 cが恒星を4周する間に内側のKepler-1649 bがほぼぴったり9周することを意味している。このように公転周期が整数比となる現象は「軌道共鳴」と呼ばれ、太陽系でも冥王星と海王星の公転周期が3:2となっている例がある。ただ、2:1や3:2のような簡単な比ではなく9:4となっているのは、間に別の惑星が隠れていて、Kepler-1649 b、cの両方と3:2の軌道共鳴を起こしている(つまりKepler-1649 c:未知の惑星:Kepler-1649 bの公転周期が9:6:4の関係にある)可能性を示唆するが、ケプラーの観測データからはそれらしい信号は見つかっていない。

Kepler-1649系のイラスト
Kepler-1649系のイラスト。(左から)今回発見された惑星Kepler-1649 c、中心星である赤色矮星Kepler-1649、内側の惑星Kepler-1649 b