リュウグウで7つの「世界初」を達成した「はやぶさ2」

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12月19日の記者説明会で、小惑星リュウグウでの探査機「はやぶさ2」の運用について総括が行われた。7つの「世界初」を達成するなど、大きな成果を挙げた「はやぶさ2」の活動を振り返る。

【2019年12月23日 JAXA

12月3日に地球帰還のための巡航に入った「はやぶさ2」は、12月19日時点でリュウグウから4万5000kmまで離れ、順調に飛行を続けている。12月14日からは運転するイオンエンジンを3台から2台に減らした運用が行われている。

予定では、現在のイオンエンジン運転を2020年2月まで行い、2月から5月まではイオンエンジンを使わずに太陽の重力のもとでの公転運動(弾道飛行)を行う。その後、9月まで2回目のイオンエンジン運転を行い、10月からは化学エンジン(スラスター)を使って地球に戻るための最終的な精密誘導に入る。地球に戻るのはリュウグウ出発から約1年後の2020年11~12月になる予定だ。

「はやぶさ2」帰還運用計画
「はやぶさ2」が地球に帰還するまでの運用計画。イオンエンジンを2期に分けて運転し、2020年11~12月に地球に帰還する。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

地球出発からリュウグウ到着までの往路では、最終的に「はやぶさ2」の速度をリュウグウに一致させる「ランデブー」状態にする必要があるため、地球でスイングバイを行うなどして約3年半かかる軌道での飛行になったが、地球に帰還する復路では地球到着時に探査機が地球に対して速度を持っていてもかまわないため、約1年という早い道のりで帰還することができる。

地球に到着した「はやぶさ2」は、リュウグウで採取した試料を入れたカプセルを地球に向けて分離した後、地球から待避する飛行に移る。このため、「はやぶさ」初号機とは異なり、「はやぶさ2」自身は地球の大気圏には突入しない。「はやぶさ2」プロジェクトチームでは、カプセル分離後の「はやぶさ2」を別の天体の探査へ向かわせることも検討しているが、具体的な計画は未定とのことだ。

12月19日に行われた記者説明会では、リュウグウに滞在した約1年5か月の運用の総括として、「はやぶさ2」が工学的成果として以下7つの「世界初」を達成したことが報告された。

  • 小型ロボットによる小天体表面の移動探査
    「MINERVA-II1」のローバー2機(「イブー」・「アウル」)を投下し、リュウグウ表面を移動したことを確認した。
    その後、独・仏のローバー「MASCOT」を投下、こちらも移動も確認した。
  • 複数のロボットを小天体に投下、展開
    「MINERVA-II1」の「イブー」・「アウル」と「MASCOT」の計3機がリュウグウ表面で活動した。
  • 天体着陸精度60cmを実現
    第2回タッチダウン(7月11日)で、着陸予定地点「C01-Cb」(直径7m)の中心から60cmの位置にタッチダウンしたことを確認した。
  • 人工クレーター作成、その過程と作成前/作成後の状態を詳細観測
    衝突装置 SCI を投下し、直径約10mの「おむすびころりん」クレーターを生成。その様子を分離カメラ「DCAM3」で撮影することに成功した。
  • 1機の探査機が同じ天体の2地点に着陸
    リュウグウの赤道付近で経度が約90度離れた2か所に着陸。両地点には「たまてばこ」「うちでのこづち」という愛称が命名された。
  • 地球圏外の天体の地下物質にアクセス
    クレーター生成によってリュウグウ地下の物質が飛散して表面に堆積したことを画像観測で確認し、その中に着陸して試料を採取した。
  • 最小・複数の小天体周回人工衛星を実現
    「MINERVA-II2」分離のリハーサルとして、ターゲットマーカー2個を投下してリュウグウを周回する人工衛星にすることに成功。「スプートニク」「エクスプローラー」と命名された。

「はやぶさ2」の世界初
「はやぶさ2」の世界初
「はやぶさ2」がリュウグウで成し遂げた7つの「世界初」。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

また、リュウグウ滞在で得られた観測データを元に、これまでに『Science』に4件、『Nature Astronomy』に1件、その他論文誌に11件の論文が掲載され、その後も多くの論文が掲載される予定となっているなど、理学分野でも大きな成果を挙げている。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/12/19)ライブ配信

(文:中野太郎)

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