「はやぶさ2」が次に目指す小惑星、イトカワと類似

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「はやぶさ2」が拡張ミッションでフライバイする小惑星 2001 CC21 の大きさや組成が、「はやぶさ」初号機が訪れた小惑星イトカワと似ていることがわかった。

【2023年7月26日 北海道大学

探査機「はやぶさ2」は、2020年12月に小惑星「リュウグウ」のサンプルを地球に届けた後も飛行を続けている。「はやぶさ2♯」と名付けられた拡張ミッションで、2026年7月に小惑星2001 CC21をフライバイし、2031年に小惑星1998 KY26にランデブーすることが決まった(参照:「「はやぶさ2」は拡張ミッション「はやぶさ2♯」へ」)。

「はやぶさ2」の次なる目標として注目が集まるこの2001 CC21だが、観測例が少なく、大きさや組成についてはよくわかっていない。

小惑星2001 CC21
2023年1月17日撮影の小惑星2001 CC21(撮影:ろどすたさん)。画像クリックで天体画像ギャラリーのページへ

今年3月下旬、2001 CC21が地球から約1900万kmの距離にまで接近し、地上望遠鏡で観測する好機となった。そこで、韓・ソウル大学校のJooyeon Geemさんたちの研究チームは、北海道大学の1.6mピリカ望遠鏡、広島大学の1.5mかなた望遠鏡、スペイン・カナリア諸島の2.56m北欧光学望遠鏡を用いて、今年1月から3月にかけて2001 CC21の偏光観測を実施した。

太陽光は進行方向に垂直な面内で様々な方向に振動しているが、天体にぶつかって散乱や反射されると、その振動方向に偏りが生じる。この偏りの程度は偏光度と呼ばれ、光を反射した物質の種類や形状、大きさを反映する。つまり、偏光度を調べることで天体表面の情報を得ることが可能だ。

観測に使用された望遠鏡
今回の偏光観測に使用された望遠鏡。左から、ピリカ望遠鏡、かなた望遠鏡、北欧光学望遠鏡(提供:北海道大学、広島大学、Magnus Galfalk)

従来の研究では、2001 CC21の組成はL型小惑星という珍しいグループに分類される可能性が示唆されていた。今回の研究で太陽光の当たり方に応じた偏光度の変化を調べた結果、2001 CC21がL型である可能性は否定され、岩石質な小惑星であるS型と一致することがわかった。この結果はNASA赤外線望遠鏡施設を用いた分光観測からも裏付けられている。S型小惑星といえば「はやぶさ」初号機が2005年に探査した小惑星イトカワと同じだ。

また、2001 CC21の大きさは約500mと推定された。こちらもイトカワと同程度である。

小惑星のタイプと偏光特性の比較
小惑星のタイプと偏光特性の比較。2001 CC21がイトカワと同じS型の偏光特性を持っていることがわかる(提供:Geem et al. 2023の図を一部改変、イトカワのデータはCellino et al. 2005, Icarus, 179, 297より引用)

これまでに探査機などによって直接探査された小惑星は直径950kmの非常に大きなものから160mの小さなものまであり、組成もS型、C 型、V型など多岐にわたる。大きさや組成が異なれば、小惑星表面で起こる現象(地滑りや宇宙風化など)も異なってくる。これに対して、イトカワと2001 CC21のように似た大きさや組成の小惑星を比べれば、小惑星表面で起こる現象の普遍性を調べることができると期待される。

イトカワについては、がれきが集まったラブルパイル構造や、場所によって宇宙風化の度合いが異なるなどの特徴が知られている。これがイトカワ固有の性質なのか、小さな小惑星においては普遍的な現象なのかは、「はやぶさ2」が2026年に2001 CC21をフライバイしたときに解き明かされるかもしれない。

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