「100点満点で1000点」、「はやぶさ2」第2回着陸に成功

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日本時間11日午前、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの2回目のタッチダウンに成功した。表面のサンプル採取にも成功したとみられる。

【2019年7月12日 JAXA (1)(2)

「はやぶさ2」のプロジェクトチームは7月10日9時58分(日本時間、地上で事象を確認した時刻。探査機上の時刻は約13分前となる。以下同)から第2回タッチダウン(PPTD)の降下運用を開始した。

「はやぶさ2」は順調に高度を下げ、7月11日9時54分には高度30mでホバリングを開始し、事前に着陸地点に投下してあるターゲットマーカーをカメラで捕捉した。プロジェクトエンジニアの佐伯孝尚さんによると、マーカーをとらえるまでには4分間ほどの時間を要する見込みだったが、機体の航法誘導の精度が非常に高く、撮影開始から1分ほどでカメラの視野内にマーカーをとらえることができたという。

その後「はやぶさ2」はターゲットマーカーを視野中央に追尾しながら自律的に降下を行い、10時09分には高度8.5mまで降下した。ここから着陸地点に向かって機体を水平に移動させ、同時にリュウグウ表面の地形に合わせて機体の姿勢をやや傾ける動作を行った。10時18分から最終降下を行い、10時20分(機上時刻:10時06分)に着陸地点「C01-Cb」にタッチダウンした。

タッチダウン直後
「はやぶさ2」の広角の航法誘導カメラ「ONC-W1」が10時06分32秒(機上時刻)に撮影したタッチダウン直後の画像。高度は約10m。弾丸発射と上昇のスラスター噴射によって大量のがれきが舞い上がっている様子がとらえられている(提供:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

リュウグウ表面
「ONC-W1」が10時08分53秒(機上時刻)に撮影したリュウグウ表面。高度は約100m。第1回タッチダウンのときと同様に、着陸地点に黒っぽい模様ができている(提供:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

「はやぶさ2」は接地と同時に弾丸を発射した。これによって舞い上がったリュウグウの物質がサンプラーホーンに入り、物質の採取に成功したとみられる。接地時間は数秒間で、「はやぶさ2」はすぐに上昇した。

10時39分には「はやぶさ2」が姿勢を変え、高利得アンテナ(HGA)を再び地球に向けた。運用チームではテレメトリ(機体の状態を示すデータ)や撮影画像などを受信し、着陸後も機体が健全であること、着陸シーケンスが中止されずにすべて完了していること、弾丸の発射コマンドが発行されていることを確認し、10時51分にプロジェクトマネージャの津田雄一さんがタッチダウン成功を宣言した。

運用管制の拠点となるJAXA相模原キャンパスで14時から行われた記者会見で、津田さんは「私たちは太陽系の歴史を手に入れることができました」と語り、今回の運用を「100点満点で1000点。パーフェクトだった」と評価した。

佐伯さんは「はやぶさ2」の弾丸を発射する火工品付近の温度データを示し、10時06分(機上時刻)ごろを境にして温度が約10度上昇していることから、この時刻に接地して確かに弾丸が発射されたとみられることを説明した。

温度変化
弾丸発射部分の温度変化。10時06分(機上時刻)を境にして温度が上昇している。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

また、この会見中にサンプラー担当の澤田弘崇さんが運用室から会見場に駆けつけ、受信されたばかりの小型モニタカメラ(CAM-H)の画像を紹介した。プロジェクトサイエンティストの渡邊誠一郎さん(名古屋大学)は、これらの画像を見た第一印象として、「リュウグウはスペクトル観測ではどこも似たような特徴を持っているにもかかわらず、今回の採取で飛び出してきた物質の量や形、色などは第1回タッチダウンのときとはだいぶ違っているように見える。第1回タッチダウンでは平べったい岩石の破片が多くみられたが、今回はそこまで多くなく、明るい色の破片がより多いようだ。それぞれの場所に個性があることがわかったのはきわめて重要」と語った。

タッチダウン直後の様子
小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影されたタッチダウン直後の様子。接地の4秒後に相当する(提供:ISAS/JAXA)

運用チーム
第2回タッチダウンの成功を喜ぶ運用チームの皆さん。右から、澤田弘崇さん(サンプラー担当)、津田雄一さん(プロジェクトマネージャ)、佐伯孝尚さん(プロジェクトエンジニア)、渡邊誠一郎さん(プロジェクトサイエンティスト、名古屋大学)、吉川真さん(ミッションマネージャ)、久保田孝さん(JAXA宇宙科学研究所 研究総主幹)(撮影:星ナビ編集部)

「はやぶさ2」は今後、着陸地点の詳細観測を行うとともに、今年末のリュウグウ出発に向けた準備も始める。また、最後の小型機「MINERVA-II2」の投下ミッションも残っている。

小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回タッチダウン運用(19/7/11)ライブ配信

小惑星探査機「はやぶさ2」第2回タッチダウン実施にかかる記者会見(19/7/11)ライブ配信

(文:中野太郎)

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