ケレス周回1周年を迎えたドーン

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探査機「ドーン」が準惑星「ケレス」を周回し始めてから1年が経った。興味深い地形の存在が明らかになるなど、ドーンによる探査は研究者を驚かせ続けている。

【2016年3月11日 NASA JPL

探査機「ドーン」が小惑星帯の最大の天体である準惑星「ケレス」の周回を開始したのは、1年前の2015年3月6日のことだ。以来ドーンは、初めて目にする多くの画像やデータを届けてくれている。「ケレスは様々な点で私たちを驚かせ、良い意味で期待を裏切ってくれました。ドーンから届いた1年分のデータから突きつけられた謎を解こうと、必死になっています」(ドーン主任研究員 Carol Raymondさん)。

謎めいた地形の一つが、研究チームが「アフナ(Ahuna)」と名付けた高い山だ。ドーンがケレス周回を始める前の2015年2月に4万6000kmの距離から見たこの山は、明るい側面を持った小さなコブのように見えていた。しかし、ドーンがケレス周回軌道に入って高度を下げていくと、アフナ山はピラミッド型に見えるようになり、さらに接近すると、なめらかで急な斜面を持つドームと呼ぶのが一番ふさわしい地形であることがわかった。

最新のアフナ山の画像は2015年2月時点に比べて120倍も近い高度385kmから撮影されたもので、斜面の一部に多くの明るい物質が存在していることなどが明らかになった。アフナ山の最も急な側の高さは5km、平均4kmで、山の直径は20kmである。

アフナ山
ドーンが2015年12月に撮影したアフナ山(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

さらに、ケレスにはアフナ山と似た地形が他にもあることがわかってきたが、アフナ山ほど高くはっきりしたものはないようだ。「アフナ山のような地形があるとは、誰も想像していませんでした。この山の形成プロセスについて、納得のいくモデルはまだありません」(ドーン主任研究員 Chris Russellさん)。

アフナ山から約670km北西には、今やすっかり有名になったクレーター「オッカトル(Occator)」が位置している。ドーンが到着する以前、ハッブル宇宙望遠鏡でとらえたオッカトルは、ケレス表面の明るい部分として見えていただけだった。

ドーンがケレスに接近するにつれて、非常に反射率の高い光点が少なくとも2つあることがわかり、画像の解像度が上がると、オッカトルだけで少なくとも10個の光点が存在していることが明らかになった。そのうち最も明るいものは、クレーターの中央に位置している。この明るい物質がアフナ山のものと同じかどうかはわかっていない。