明るい重力崩壊型超新星の周りは、元素も豊富か

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板垣公一さんが5月に発見した超新星2023ixfは、重力崩壊型超新星としては21世紀で見かけが最も明るい。その周囲を取り巻く、爆発前に放出されたガスの成分が観測で明らかになった。

【2023年8月23日 鹿児島大学

今年5月19日、世界的な天体捜索者の板垣公一さんがおおぐま座の渦巻銀河M101に超新星2023ixfを発見した。M101までの距離は2100万光年と比較的近いことから超新星も明るく見え、発見時に14.9等だった光度は、5月24日には10.8等に到達した。これほど明るくなる超新星はとても珍しい。

超新星2023ixf
超新星2023ixf(撮影:syanwoodsさん)。画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ

アマチュア天文家の藤井貢さんは、岡山県内にある40cm望遠鏡に搭載された自作の分光器で観測を実施し、超新星2023ixfのスペクトルに、大質量星が生涯の最期に起こす爆発である「重力崩壊型超新星」の特徴が見られることを明らかにした。超新星2023ixfは,重力崩壊型としては21世紀で見かけの光度が最も明るい超新星だったことになる。

その後も藤井さんは観測を続けて、推定爆発日から8日間で4本のスペクトルを取得した。鹿児島大学・天の川銀河研究センターの山中雅之さんたちの研究チームがスペクトルを分析したところ、水素が発する輝線が2つの成分に分けられることが明らかになった。それぞれ、超新星爆発と共に膨張したガスと、爆発以前から星を取り巻いていた星周ガスに対応するものだ。さらに、スペクトルには、水素だけではなくヘリウムや炭素、窒素などの輝線が存在することも示され、星周ガスに窒素などの元素が豊富に含まれていることがわかった。

山中さんたちは国立天文台VERA入来観測局(鹿児島県)に設置されている1m光赤外線望遠を用いて、超新星発見の翌晩から近赤外線観測を行っている。この観測からは、近赤外線波長域において超新星2023ixfの絶対等級がマイナス18等程度であることがわかり、重力崩壊型超新星の中でも高い光度を持つことがわかった。

超新星2023ixfの近赤外線データ
近赤外線3バンド同時撮像装置(kSIRIUS)により取得した超新星2023ixfの近赤外線データ。(上)1.2、1.6、2.2μmの撮影データを合成した画像、(下)左から順に、1.2、1.6、2.2μmを中心としたフィルターバンドで撮影した画像(色は任意の擬似カラー)(提供:鹿児島大学リリース)

今回のようにスペクトルから炭素と窒素が検出された超新星は3例しかないが、いずれも重力崩壊型超新星の中では比較的光度が高いことがわかっている。超新星の光度と輝線として見える元素には何らかの関係があることが、今回の研究からも示唆された。

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