オシリス・レックス、最後の探査を完了

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NASAの探査機「オシリス・レックス」が、小惑星ベンヌの最後の接近観測を4月7日に実施し、昨年10月にタッチダウンした地点などを撮影した。

【2021年4月14日 NASA

NASAの探査機「オシリス・レックス」は2018年12月に小惑星ベンヌに到着し、2020年10月20日にはベンヌ表面にタッチダウンしてサンプル採取に成功した。これ以降、探査機はベンヌからゆっくりと遠ざかっていて、最大で約2200kmまで離れていたが、4月7日に探査の締めくくりとなる、ベンヌへの最後のフライバイ(接近飛行)が実施された。

最後のフライバイはサンプル採取以降では最もベンヌに接近するもので、ベンヌの表面に約3.5kmまで近づきながら、小惑星の自転周期(約4.3時間)よりも長い5.9時間かけて表面の撮像が行われた。

当初の計画になかった最後のフライバイが追加された理由は、2020年10月のタッチダウンによって、サンプル採取地点「ナイチンゲール」の周辺の表面などにどのような変化が生じたのかを調べるためだ。

サンプルを採取した際に、探査機のサンプル採取装置「TAGSAM」(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism) の採取ヘッドは、小惑星の表面下深さ50cmほどまで入り込むと同時に窒素ガスを噴射した。さらに、採取を終えた探査機が上昇する際のエンジン噴射でも、岩石や塵といった大量の表面物質が巻き上げられた。運用チームでは、こうした作用によってベンヌの表面にどのような変化が引き起こされたのかを探ることにしている。

「サンプル採取によって掘り起こされた物質の分布を調べることで、表面や表面下の物質の特徴や力学的な性質を知ることができるでしょう」(オシリス・レックス主任研究員 Dante Laurettaさん)。

最後のフライバイ時の飛行経路
4月7日に最後のフライバイを実施した「オシリス・レックス」の飛行経路(オレンジ色)のイラスト。水色の×印がサンプル採取地点「ナイチンゲール」の位置(ベンヌに対する探査機の大きさは実際のスケールとは異なる)(提供:NASA/Goddard/University of Arizona)

オシリス・レックスのデータを受信するNASAの「深宇宙ネットワーク」のアンテナは他の宇宙ミッションでも使われるため、今回の最終フライバイで撮影された画像などの受信に割り当てられるのは1日当たり4~6時間ほどだ。「最後のフライバイでは約4GBのデータが得られました。現在、ベンヌは地球から約3億km離れていて、データの転送速度は412kbpsほどしかないため、全データのダウンロードには数日かかります」(オシリス・レックス プロジェクトマネージャー Mike Moreauさん)。

オシリス・レックスは5月10日にエンジンを噴射し、2年に及ぶ地球帰還の旅を開始する。ベンヌのサンプルが届くのは2023年9月24日の予定だ。

ベンヌを出発するオシリス・レックス
ベンヌを出発するオシリス・レックスのイラスト(提供:Kaley Brauer, MIT)

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