相馬さんが星食観測への貢献で「ホーマー・ダボール賞」受賞

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国立天文台の相馬充さんが、星食の観測研究で顕著な貢献をした研究者や観測者に贈られる「ホーマー・ダボール賞」を受賞した。

【2019年12月6日 星ナビ編集部IOTA

著者:早水勉さん(佐賀市星空学習館HAL星研

相馬さんは長らく国際掩蔽観測者協会(IOTA; International Occultation Timing Association)の役員を務めておられ、これまでの慣例では「ホーマー・ダボール賞」(*1)の受賞対象ではなかったが、今年の委員会では慣例を破って受賞者を選定することになったことから、相馬さんが選ばれた。もとより相馬さんの星食研究は、随分以前から世界的に評価され続けており、IOTAの役員でなければもっと早く受賞していたことだろう。

今年は、相馬さんとともに、ヤン・マーネクさん(Jan Manek、チェコ)とデイブ・ゴールトさん(Dave Gault、オーストラリア)の3氏が、月による星食の観測のとりまとめや解析への貢献が評価されての受賞となった。さらに相馬さんの表彰理由には、小惑星による恒星食の世界図(Soma's World Map)を初めて作成した業績も追加されている。

星食観測から得られる成果は、多岐にわたって進化し続けている。相馬さんには、これからもますますの活躍を祈念したい。

相馬さんの受賞コメント

権威あるホーマー・ダボール賞を授与するとの報をいただいた時には、たいへん驚きました。しかも、古くから活躍されているチェコのJan ManekさんとオーストラリアのDave Gaultさんと一緒の受賞ということで、たいへん光栄に思います。すでにこの賞を授与されている宮下和久さん早水勉さんとともに受賞者の仲間入りができたのも、うれしい限りです。

私の受賞理由には接食観測の収集と解析に加え、小惑星による掩蔽が見られる地域を示す地球の図を作成したことも挙げられています。接食については、IOTA の仕事としてやってきたことですし、自分が好きでやっていることですから、それで賞を授与されるというのは申し訳なくも思います。

小惑星による掩蔽の予報地図は、今となってはどの予報でも採用されているものですが、今から40年あまり前に当時の掩蔽観測グループの仲間の間で議論していた際に、掩蔽帯をこのような図で表したらわかりやすいだろうということで、できたものでした。私が作成した予報図を掩蔽観測グループ代表者の広瀬敏夫さんが当時のIOTA会長のDavid Dunham博士に紹介してくださり、IOTAの会誌に何年にもわたって掲載されたのでした。今回の受賞の喜びを、広瀬さんはじめ、掩蔽観測者仲間たちとも分かち合いたいと思います。

相馬充さん
受賞盾を持つ相馬さん(提供:相馬さん)

1: ホーマー・ダボール賞:IOTAを創設し、1960~1990年に接食観測で活躍したホーマー・ダボール(Homer F. DaBoll 1920-1990、米)を記念して2007年に創設された賞。受賞者はIOTAアワード委員会により選定され、IOTA年会において発表される。