オシリス・レックスが小惑星ベンヌに到着

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日本時間12月4日午前2時ごろ、NASAの探査機「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」に到着した。地球にサンプルを持ち帰るのは約5年後の予定だ。

【2018年12月4日 NASA(1)(2)

2016年9月9日に打ち上げられたNASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」が、2年3か月に及ぶ約20億kmの旅の末、日本時間12月4日午前2時ごろに目標天体である小惑星「ベンヌ」へ到着した。

ベンヌに接近する様子
8月17日から11月27日までに撮影されたベンヌの画像から作成された、ベンヌへと接近していく動画。オシリス・レックスはこの約3か月間で220万kmを航行した(提供:NASA/Goddard/University of Arizona、以下同)

オシリス・レックスは現在、ベンヌの上空約19kmに位置している。探査機はまず数か月かけて、ベンヌの上空約7kmまで接近しながら、北極から赤道領域、南極の順で予備的な探査を行い、ベンヌの質量や自転速度の見積もり精度を向上させ、正確な形状モデルを作成する。

その後、探査機は12月31日にベンヌを周回する軌道へ入る。ベンヌの幅は約492mで、これは探査機が周回する天体としてはこれまでで最小のものだ。探査機はベンヌの表面に約1.25kmまで接近し、サンプル採取に最適な場所を選び出すための全球地図の作成を2019年2月から始める。

そして、オシリス・レックスはベンヌの表面へ降り立ってサンプルを採取し、それを2023年9月に地球へと持ち帰る計画となっている。小惑星からのサンプルリターンは、NASAの宇宙探査史上としては初となる。

ベンヌの自転
約80kmの距離から撮影されたベンヌの画像から作成された自転(4時間18分)1回分の動画

小惑星にはいくつかのタイプがあるが、ベンヌは炭素と有機分子を多く含む始原的なB型小惑星だ。B型小惑星が探査されるのは初めてのことであり、「はやぶさ」が探査したS型小惑星のイトカワ、「はやぶさ2」が探査中のC型小惑星リュウグウとの類似性や相違点を調べるうえでも非常に興味深い。

また、ベンヌは地球に衝突する潜在的な可能性がある小惑星の一つであり、こうした天体の探査も初めてである。どのような原因によって小惑星が地球に接近するようになるのかを調べることも、このミッションの重要な目的の一つである。

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