火星で大規模なダストストームが発生中

このエントリーをはてなブックマークに追加
現在、火星の北半球で大規模なダストストームが発生しており、世界中のアマチュア観測者によって画像が撮影されている。2007年以来の大規模なダストストームとなるかもしれない。

【2018年6月8日 PVOL月惑星研究会

火星は5月22日に秋分を迎え、北半球は秋から冬へ、南半球は春から夏へと移り変わる時期だ。この時期には大規模なダストストーム(砂嵐)が発生することがある。

NASAの火星周回探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」で撮影された画像によると、5月31日ごろに北半球のアキダリア平原からアラビア大陸にかけての地域でダストストームが発生したようだ。ダストストームは成長しながら南下し、6月3日にはクリュセ平原や赤道付近のメリディアニ平原まで広がる大規模なものとなっている。

MROが撮影したダストストーム
MROの広角カメラMARCIで撮影された6月3日の火星表面(北が上)。中央に広がる黄色い雲のようなものがダストストーム。黒い部分は観測画像がない領域(提供:NASA/JPL-Caltech/Malin Space Science Systems)

日本の月惑星研究会 (ALPO-Japan) のウェブサイトやアストロアーツ天体写真ギャラリーにも、このダストストームを撮影した画像が投稿されている。

6月4日・7日の火星(新井優さん)
6月4日・7日(世界時)の火星(南が上)。画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ(撮影・提供:新井優さん)

6月5日・8日の火星(大熊正美さん)
6月5日・8日の火星(北が上)。画像クリックで表示拡大(撮影・提供:アストロアーツ 大熊正美)

火星の大規模なダストストームは近年では2007年に発生している。このときにはNASAの探査ローバー「スピリット」「オポチュニティ」で太陽電池の起電力が低下し、一部の観測機器の電源をオフせざるをえないなどの影響が出た。現在メリディアニ平原にいる「オポチュニティ」の観測データでは、大気の不透明度が2007年のダストストーム時以来の高い値を記録しており、今回のダストストームが11年ぶりの大規模な現象となる可能性がある。

今年7月31日の地球最接近に向け、火星は現在、深夜から未明の空に赤く明るく輝いて見えている。視直径が15秒角を超え、ちょうど観測や撮影に適したタイミングに入ってきたが、ダストストームが火星の全球を覆うような大規模なものとなった場合には、表面の模様がよく見えなくなるかもしれない。今後の動向に要注目だ。

(文:中野太郎)

〈参照〉

〈関連リンク〉

関連記事