三日月とリングは惑星誕生のサイン

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アルマ望遠鏡が若い星「オリオン座V1247星」の周りの塵を観測し、星を取り巻くはっきりとした内側の環と、淡い三日月形をした外側の環をとらえた。

【2017年10月25日 アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡による電波観測で、1000光年彼方の若い星「オリオン座V1247星」の周りに広がる2つの塵の環が写し出された。内側の環は星をぐるりと取り巻くはっきりとした環で、外側の環は三日月形をした淡いものだ。

オリオン座V1247星を取り囲む塵の環と三日月形構造
「オリオン座V1247星」を取り囲む、塵の環と三日月形構造(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S. Kraus (University of Exeter, UK))

2つの環の間に見える暗い隙間の部分は塵が少ない領域で、この場所に惑星ができている可能性を示している。惑星ができると、その重力によって軌道の両側に圧力の高い部分が現れると考えられており、船のへさきが水を切って進むように、惑星の軌道に沿って隙間ができる。このとき塵が両側に掃き寄せられるが、その状態が数百万年にわたって続くことで塵の密集した状態が保たれ、塵が合体成長しやすくなる。

この現象は「ダストトラップ」と呼ばれるもので、これまでにもアルマ望遠鏡の観測で「Oph-IRS 48」の周り(参照:「惑星成長のカギを握る「安全地帯」を発見」)や「HD 135344B」の周り(参照:「アルマ望遠鏡が詳細に見せてくれた惑星形成現場」)でも発見されてきた。

内側の環の左下がやや明るいのは、その領域に周囲より多くの塵が集められていることを示している。塵の環のなかで惑星が作られるコンピューターシミュレーションの結果ともよく一致する構造で、英・エクセター大学のStefan Krausさんたちの研究チームは、この部分もダストトラップではないかと考えている。

惑星形成の研究における大きな問題として、小さな塵が中心星に落下することなくどのようにして合体成長して惑星になるのか、という基本的な疑問がある。ダストトラップが実際に発生しているのであれば、圧力によって塵は円盤内の特定の場所に掃き集められるため、星に落下することなく成長できるようになる。ダストトラップの詳細な観測により、惑星形成の謎を解く手掛かりが得られるかもしれない。

「三日月があるに違いないと思い、この天体に狙いを定めましたが、リングまで出てくるとは予想していませんでした。遠い星の円盤でありながら、これまでで最も鮮明なダストトラップの画像が得られ、シミュレーションとの比較が格段にやりやすくなったと感じます。長年の謎である塵から惑星への成長過程が、近い将来、明らかになると期待しています」(名古屋大学 深川美里さん)。

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