若い星を取り巻く多様な塵円盤

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超大型望遠鏡VLTの観測装置「SPHERE」が撮影した、若い星を取り巻く塵の円盤の画像が多数公開された。大きさや構造などが異なる、多種多様な円盤の姿がとらえられている。

【2018年4月13日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTでは、恒星の光を隠してそのすぐそばの領域を撮像する装置「SPHERE」を取り付けて、太陽から比較的近い恒星をめぐる巨大惑星の発見調査や、生まれて間もない星を取り巻く塵の円盤(星周円盤)の観測が行われている。

そのSPHEREがとらえた星周円盤の画像が多数公開された。

様々な星周円盤
SPHEREで撮影された様々な星周円盤。一部の円盤には、惑星の重力で塵が集められてできた溝らしい模様が見られ、惑星形成プロセスが進んでいると考えられる(提供:ESO/H. Avenhaus et al./E. Sissa et al./DARTT-S and SHINE collaborations)

円盤は大きさや形が様々で、明るい環や暗い部分があったり、ハンバーガーの形に似ていたりするものもある。また、真上から見た円形のものから、ほぼ真横から見た幅の狭い円盤まで、見る方向によっても姿は劇的に変化する。

下の画像は、「おおかみ座IM星」の円盤をとらえたもの。生まれて1000万年に満たない変光星の一種「Tタウリ型星」を観測する「DARTTS-S」サーベイプロジェクトで撮影された。

「おおかみ座IM星」を取り巻く円盤
「おおかみ座IM星」を取り巻く円盤。中心の灰色の丸が星の位置(提供:ESO/H. Avenhaus et al./DARTT-S collaboration)

これらの円盤は、惑星系の前段階である原始惑星系円盤であり、ガスや塵や微惑星といった惑星形成の材料が存在している。いくつかの円盤は、40億年以上前に形成初期の時代にあった太陽系は「きっとこんな姿をしていただろう」と思わせるものだ。

また、SPHEREの系外惑星赤外線サーベイ「SHINE」で観測したいて座方向のM型矮星(赤色矮星)「GSC 07396-00759」には、新たに星周円盤が発見された。

「GSC 07396-00759」を取り巻く円盤
「GSC 07396-00759」を取り巻く円盤。円盤は左下から右上に伸びている。中心の灰色の丸が星の位置(提供:ESO/E. Sissa et al.)

この星の星周円盤は、同じ多重星系に属しているTタウリ型星(これも「DARTTS-S」の観測対象)を取り巻くガスの豊富な円盤よりも進化しているように見えるのだが、意外にも年齢は同じであることがわかっている。星自体も円盤も同じころに作られたのに、なぜ違って見えるのか。これを明らかにするため、より多くの円盤の発見と、それらの特徴を調べる研究が進められている。

これまでにもSPHEREの観測データは惑星と円盤との相互作用や軌道、円盤の時間進化といった研究に利用されてきた。今回の結果は、アルマ望遠鏡など他の望遠鏡の観測データと共に、若い星の周囲の環境や惑星形成の複雑なメカニズムに対する理解を革命的に向上させていくものとなる。