モンスター星の光で進化するオリオン座大星雲

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アルマ望遠鏡などによる観測で、活発な星形成活動が続くオリオン座大星雲の中で生まれたばかりの巨大星にあぶられ高い圧力で圧縮される分子ガスの様子が、これまでになく克明に描き出された。

【2016年8月17日 アルマ望遠鏡

オリオン座の三ツ星の下(南)に位置するオリオン座大星雲は、地球から約1400光年の距離にある星形成領域だ。太陽の10倍程度以上の質量を持つ大質量星を生み出す領域としては、私たちに最も近いところにある。

オリオン座大星雲には「トラペジウム」と呼ばれる4つの巨大な若い星が存在しており、一般の天体望遠鏡でも見ることができる。トラペジウムの星たちは強烈な紫外線を放っており、そのエネルギーを受けてオリオン座大星雲が輝いている。

紫外線は星雲を輝かせるだけでなく、星雲を破壊する作用もある。星は低温の分子ガス雲の中で生まれるが、大質量星は強烈な紫外線を放射して周囲の分子を壊して原子ガスを作り、さらに原子も壊して電離ガス(HII(エイチツー)領域)を作りだす。

下の画像左は、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで撮影されたオリオン座大星雲の一部だ。画像中、左上から右下にのびる帯状構造は「オリオン・バー」と呼ばれ、画像右上にあるトラペジウムからの紫外線を受けてまさにガスが電離されている境界面である。

(左)VLTによるオリオン座大星雲、(右)アルマ望遠鏡とIRAM 30m望遠鏡によるオリオン・バーの一部
(左)VLTによるオリオン座大星雲、(右)アルマ望遠鏡とIRAM 30m望遠鏡によるオリオン・バーの一部(左画像の四角内)(提供:ESO/Goicoechea et al.; ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

一方、右の画像は、オリオン・バーに沿った領域に広がるHCO+(ホルミルイオン)ガスからの電波を、チリのアルマ望遠鏡とスペインのIRAM 30m望遠鏡で観測して得たものだ。アルマ望遠鏡の高い解像度により、HCO+ガスの境界面が波打つように激しく乱されている様子がはっきりとわかる。この画像は、分子ガスが紫外線によってどのように壊されていくのか、その境界面で何が起こっているのかを知る大きな手がかりになる。