オリオン座大星雲の巨大赤ちゃん星たちが見せる宇宙花火

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アルマ望遠鏡の観測から、オリオン座大星雲の一角の「オリオンKL」と呼ばれる領域が、巨大な赤ちゃん星の衝突による爆発の痕跡らしいことが確かめられた。

【2017年4月10日 アルマ望遠鏡

地球から約1500光年彼方にあるオリオン座大星雲は巨大なガスの塊で、新しい星が次々に集団で生まれている場所だ。その星雲内にある「オリオンKL」と呼ばれる領域は星が爆発した痕跡のように見えるが、爆発の原因や天体の詳細はわかっていなかった。

オリオン座大星雲とオリオンKL
すばる望遠鏡が赤外線で撮影したオリオン座大星雲(左)とオリオンKL(提供:国立天文台)

米・コロラド大学のJohn Ballyさんたちの研究グループはアルマ望遠鏡を用いてオリオンKLを観測し、爆発によって差し渡し1光年にも飛び散った物質を高感度かつ高解像度で描き出した。そして、オリオンKLが巨大な赤ちゃん星の衝突で生じた爆発の痕跡らしいことを突き止めた。爆発現象のヒントは以前の観測でもとらえられていたが、今回のアルマ望遠鏡の新しいデータではその様子がよりはっきり写し出され、ガス流内部の一酸化炭素分子の高速運動と分布、ガス流を吹き飛ばしている力の大きさなどの詳細が明らかになった。

オリオンKLの一酸化炭素の分布と運動
アルマ望遠鏡とジェミニ南望遠鏡で撮影したオリオンKLの合成画像。アルマでとらえた一酸化炭素ガスの分布と動きを色で表現しており、近づく方向に動くガスを青、遠ざかる方向に動くガスを赤で表している。多くの細長いガスの筋が中心から等方的に広がっている様子がわかる。ジェミニ南望遠鏡で撮影された画像には、アルマでとらえたガスの筋の先に指のように伸びるガスが写し出されている(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), J. Bally; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF); Gemini Observatory/AURA)

オリオン座大星雲内では10万年前に星々が生まれ始め、誕生した星たちはお互いに重力を及ぼしあい次第に近づいていった。そしておよそ500年前、2つの巨大な赤ちゃん星が大接近もしくは衝突したことによって、周囲の赤ちゃん星やガスを吹き飛ばしたと考えられる。星の衝突地点を中心に100本を超える細長いガスの筋が作られ、その痕跡がオリオンKLとなったのだろう。

吹き飛ばされたガスの速度は秒速150kmを超えるほどで、爆発現象によって解放されたエネルギーは太陽が1000万年かけて生み出すエネルギーに等しいと見積もられている。また、この爆発現象は非常に短命であり、アルマ望遠鏡で見えているような爆発の痕跡はほんの数百年しか存続しないと考えられている。

「爆発の痕跡はすぐになくなってしまいますが、赤ちゃん星が関連する爆発現象はそれほど珍しいものではなさそうです。オリオンKL領域に見られるように、爆発現象はその母体となったガス雲を破壊してしまいます。星の材料が吹き飛んでしまうため、巨大ガス雲における星形成は大きく制限されてしまうでしょう」(Ballyさん)。