Ia型超新星からのX線を初検出

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Ia型超新星の観測で初めてX線が検出された。超新星爆発の衝撃波が突入しX線を放射する星周物質の密度が高いことが示唆されているが、その起源は謎だ。

【2017年8月31日 UChicago

Ia型超新星は、白色矮星ともう一つの天体との連星系で起こる暴走的核融合から発生する天体だ。その爆発の明るさは特有で、見かけの明るさとの比較から距離を計算することができるので、宇宙の距離を測る指標となっている。

米・シカゴ大学のChristopher D. Bochenekさん(現在は米・カリフォルニア工科大学)たちの研究チームはNASAのX線天文衛星「チャンドラ」による観測で、超新星「SN 2012ca」からのX線を検出した。この超新星は2012年に、みなみのかんむり座の方向2億6000万光年彼方の渦巻銀河「ESO 336-G009」に出現したものだ。Ia型超新星でX線が検出されたのはこれが初めてである。

SN 2012caから検出されたX線
超新星「SN 2012ca」から検出されたX線(円内)(提供:Vikram Dwarkadas/Chandra X-ray Observatory)

渦巻銀河「ESO 336-G009」
SN 2012caが出現した渦巻銀河「ESO 336-G009」(提供:Digital Sky Survey)

発生のメカニズムが異なるII型超新星の場合、超新星爆発前の大質量星から放出された物質が星の周囲に集まっており、そこに爆発で生じた衝撃波が突入することでX線が放射される。近年では、Ia型の中にもこうした濃い星周物質が存在するものがある可能性が指摘されている。「このIa型超新星はかなりの量の星周物質に覆われているようです。物質の密度も高く、私たちがIa型超新星にとって最大と考えた値の100万倍ほどであることが観測から示唆されています」(シカゴ大学 Vikram Dwarkadasさん)。

白色矮星は爆発以前に質量を失うことはなく、通常の星周物質の起源は伴星と考えられている。しかし、観測から示唆されるSN 2012caを取り巻く物質の量は非常に多く、たいていの伴星を起源として考えた場合の量をはるかに超えている。「ほとんどの大質量星においてさえ、物質が失われる割合はそれほど高くありませんから、SN 2012caのような超新星がどんなプロセスを経て形成されるのか疑問です。本当にSN 2012caがIa型なら、なぜ大量の星周物質に覆われているのか理由はわかりませんが、そのように変化したプロセスは非常に興味深いです」(Dwarkadasさん)。

研究チームが検出したX線光子の数は、超新星爆発後の1年半に33個、更にその200日後に10個と非常に少ない。「ほんのわずかな光子から情報を得られるのは驚きです。数十個の光子から、超新星を取り巻く高密度のガスは塊状か円盤状だろうと推測することができました」(Bochenekさん)。

今後、特異なIa型超新星からのX線や電波を検出を目指す観測やその研究が増えれば、その形成を含めた謎の解明につながる新たな取り組みとなるかもしれない。

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