すばる望遠鏡、遠方の超新星を大量発見

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すばる望遠鏡の観測から、半年間で約1800個もの超新星が発見された。80億光年以上離れた超新星58個や、約100億光年彼方の超高輝度超新星5個も含まれている。

【2019年6月4日 Kavli IPMUすばる望遠鏡

大質量星は一生の最期に大爆発を起こし、超新星として明るく輝く。いくつかのタイプに分かれる超新星のうち、とくにIa型と呼ばれるものは絶対的な明るさがほぼ一定と考えられていて、見かけの明るさと比較することでその超新星までの距離を測定することができる。宇宙が加速膨張していることは、こうしたIa型超新星の観測から見出されたものだ。

また近年では、Ia型超新星よりも5~10倍も明るい「超高輝度超新星」と呼ばれる特殊な超新星も次々と発見されている。超高輝度超新星は非常に遠方のものまで観測できるので、宇宙初期にできた大質量星の性質を知るのに重要な手がかりになるとされている。

これらの超新星を効率よく発見し、明るさの変化を測定するためには、空の広い領域を長期間にわたって繰り返し観測する必要がある。すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「HSC(Hyper Suprime-Cam)」は、大集光力と高解像度を活かして遠くの暗い天体までとらえることができ、さらに満月9個分に相当する広い視野を一度に観測できるので、このような超新星研究にも非常に適している。

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の安田直樹さんたちの国際研究チームは、HSCを使った大規模なサーベイ観測「大規模戦略枠観測プログラム」の一部として、ろくぶんぎ座方向にあるCOSMOS領域と呼ばれる領域を半年間にわたって繰り返し観測した。

この観測データをもとに、機械学習などの手法によって超新星を探し出したところ、約1800個もの超新星が発見された。

超新星の分布
スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)の画像に重ねた、超新星(赤点)の分布。青い丸はHSCの視野を表す。大きさの比較のため満月の画像も右上に表示(提供:Kavli IPMU, Partial data supplied by: SDSS)

分光データから、このうち約400個がIa型超新星らしいことが判明し、そのなかで58個は約80億光年(赤方偏移が1以上)より遠くにあることが明らかになった。従来、これほど遠くのIa型超新星は、主にハッブル宇宙望遠鏡が過去10年間に実行した観測で発見された50個弱しか知られておらず、HSCはわずか半年でその数を超える遠方のIa型超新星を発見したということになる。

今回発見された超新星の例
今回発見された超新星の例。3枚1組の写真が1つの超新星の変化を示し、左から順に爆発前、爆発後、超新星の様子(提供:N. Yasuda et al.)。今回発見された全ての超新星の画像も一覧することができる(協力:国立天文台 小池美知太郎)

また、赤方偏移が2前後より大きい、約100億光年よりも遠方に存在する超高輝度超新星も5個発見された。このデータは同時代における超高輝度超新星の出現頻度の指標とすることができる。

これら遠方のIa型超新星のデータから宇宙の加速膨張がより正確に調べられ、加速膨張を引き起こしているダークエネルギーが時間とともにどのように変化しているかの研究が進むことが期待される。「HSCはダークマターの3次元分布の観測や原始ブラックホールの観測などで大きな成果を挙げていますが、遠方超新星の探査でも非常に高い能力を有していることが確認されました。今回得られたデータによって明らかにされる宇宙の姿を見るのが楽しみです」(安田さん)。